日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2015年9月定例会 和田明子議員一般質問

  1. マイナンバー制度について
  2. 子どもを性被害から守るための県の取組について

1.マイナンバー制度について

【和田議員】
 マイナンバー制度について伺います。
 いよいよ今月(10月)から始まる、いわゆるマイナンバー制度、について企画振興部長に伺います。

1)政府は、マイナンバーについて「行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現する基盤です。」と説明しています。具体的に国民の利便性はどのように高まるのか、お聞きします。

2)2016年1月以降、社会保障、税、災害対策の3分野で順次、利用がはじまり、その後、法律や条例で定められた行政手続きしか使用することができないと言われています。
 長野県では「長野県個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の骨子(案)」で、マイナンバー法に規定されていない事務のうち、自動車税の減免に関する事務など15項目が予定して、県の行政手続きで利用できる事務について明記されています。
 国の、社会保障・税・災害の3分野というのはどの程度の行政手続きに使われるのか。また、市町村も別途に、条例で定めることが必要になる項目はどのくらいあるのか、どのような事務で利用されるようになるのか。お聞きします。

3)当面、来年1月から運用が始まる部分の行政事務だけでも広範な分野にわたることになるわけですが、マイナンバーの運用にあたり、国をはじめ、県や市町村でしっかりとした対応していくための準備をしていかなければなりません。そのために必要になる、システム改修費、維持管理費、人件費など県としてマイナンバー制度の運用に係る経費・負担はどのくらいになるのかお聞きします。

4)負担が増えるという点では、制度導入により企業や自営業者においても、従業員や家族からマイナンバーの提供を受けなければならず、情報漏えいなどの罰則付きで厳格に管理することになります。中小零細企業は業務の煩雑さや出費の重さなどに頭を抱えている状況です。中小零細企業にとって、利益を新しい制度の負担に注ぎ込まなければなりません。中小零細企業に対しての負担軽減策を国や県は考えているのかお聞きします。

5)運用開始を間近に控え、様々な懸念・不安が生じています。
 日本年金機構から125万件もの情報流出が発覚し、政府の情報管理への不安が強まるなか、公的機関などで万全の対策がされている状況になっているのでしょうか。
 年金情報流出発覚後、政府が地方自治体を緊急調査したところ情報保全措置が不十分な自治体が存在する実態が判明しました。マイナンバー運用までに対策が間に合う保証があるのでしょうか。年金情報以上にマイナンバー情報が流出した場合の被害の大きさ、深刻さは計り知れません。
 年金機構の再発防止など対策がどうかもよくわからないままで、マイナンバー制度の運用を開始して大丈夫なのか、個人情報が安全に管理されるのか、情報を管理する国、県、市町村はじめ、企業などについても情報管理の安全性の担保はどのようにされているのかお聞きします。

6)間もなく簡易書留で各戸に「通知カード」の送付が始まるにもかかわらず、制度の周知がしっかりされて、国民が理解がしているのかという問題もあります。先日の新聞報道によれば、住民への周知が十分と考えている県内市町村は3割に満たない状況です。さらに個々人への周知に至ってはどの程度かも不明で、制度が始まろうとしています。この点をどう受け止めているかお聞きします。
【企画振興部長】
 和田明子議員からマイナンバー制度について大きく6点ご質問を頂きました。順次お答えを申し上げます。

1)まず、導入による利便性の向上についてでございます。マイナンバー制度は、税務署や県、市町村など様々な機関が有する個人情報が同一人物のものであることを正確かつスムーズに確認するための社会基盤でございます。
 制度が導入されますと、住民にとりましては例えば高校就学支援金の認定申請における課税証明、特定医療費支給の認定申請における住民票や所得の証明、自動車税や個人住民税などの減免申請における障害者手帳の写しといった添付書類の省略ができることとなります。また個人番号カードを取得すれば、コンビニでの住民票や印鑑登録証明書などの取得等の可能性も広がるものでございます。こうした直接的な利便性向上だけでなく、税負担を不当に免れたり、社会保障の不正受給の防止につながることも期待されるところでございます。

2)続きまして両事務の範囲でございます。利用事務の範囲につきましては、法律で個別列記する形で定められております。
 今後条例で自治体が独自に定めるもの、いわゆる「独自利用事務」を除きまして、現在法律では102の事務で利用が順次可能となる予定でございます。複数の期間で利用する場合がございますので、数の重複はございますが、102の内訳を申しますと、国の事務といたしましては雇用保険の失業等給付の支給や健康保険に関する事務など40の事務。県の事務といたしましては障がい者手帳の交付や生活保護の決定などの28の事務。市町村の事務といたしましては児童手当の支給や被災者台帳の作成など27の事務。またそのほか独立行政法人等が行う事務といたしまして30の事務がございます。これらの事務に関しまして、住所や所得状況の確認など事務処理におきましてマイナンバー制度の仕組みが活用されることとなります。

3)続いて県の負担についてでございます。制度導入にあたりましては、現在の事務処理手順の見直し、新たなシステムの構築、既存システムの改修、個人情報保護取扱規定の見直しといった作業が発生を致します。
 このうちシステム整備費と致しましてサーバーの整備のほか住基システムや生活保護システム等の既存システムの改修に平成26年、27年度の2年間で合わせて約2億2千万円を想定してございます。このうち約1億6千万円は国庫補助金が財源となり、残りにつきましては地方交付税で措置されることとなります。またこうしたシステムの運用に関して新たに発生する維持管理費と致しましては、システムエンジニアの人件費を含み年間約700万円と試算をしております。これにつきましても国から財政措置が予定されているところでございます。

4)民間事業者の負担についてでございます。制度導入後は民間事業者におきまして、税申告等のために従業員の個人番号の管理が必要となります。このため事業者の規模に応じてシステムの改修や個人情報取扱規定の作成などの新たな対応が必要となります。
 経済面も含めた事業者への負担軽減の在り方は、まずは制度設計を行った国において考慮すべきことと考えております。現時点でも小規模事業者の負担軽減の観点からは個人情報の取り扱いに関し、一定の配慮がされているところでございますが、県といたしましても全国知事会を通じ、中小企業や小規模事業者への必要な支援について国に対して要望を行なっているところであります。今後も事業者の声に耳を傾け、適切に国に伝えてまいりたいと考えております。

5)安全性の担保についてのご質問でございます。マイナンバー制度では情報管理の安全性の観点で、制度・システムの両面から様々な安全策を講じております。
 たとえば、サイバー攻撃などにより個人番号を含む情報が流出するのではないかというリスクに対しましては、こうした情報を扱う税や住基といった基幹系システムなどとインターネットを分離することで対応することとしております。
 仮にマイナンバーが流出した場合、芋づる式に様々な個人情報が流出するのではないかというリスクに対しましては、税や児童手当、生活保護などの個人情報はそれぞれ別のシステムで管理をすること、またシステム間の情報連携はマイナンバーそのものではなくシステムごとに暗号化処理された符号を用いることで対応することとしております。更に万が一マイナンバーが流出し、悪用される恐れがある場合には、マイナンバー自体を変更することも可能であります。なり済ましなどで悪用されるリスクに対しましては、マイナンバーを使って各機関が手続きを行う際には、個人番号カードや免許証などで厳格な本人確認を行なうことを法律上義務づけることで対応しております。
 こうした対策に加えまして、運用管理面での安全管理措置の順守が厳しく求められることとなります。具体的には個人番号が記載されたデータを取り扱う担当者や機器、場所、こういったものの限定と明確化、使用後のデータの確実な削除・廃棄、関連事務を外部委託する際の委託先への監督などでございます。県ではこれらを確実に実行していくために、関係課室長をメンバーとする全庁的な体制を設置したところでありまして、引き続き安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

6)最後に制度の周知についてでございます。マイナンバー制度が信頼される社会基盤として導入され、平成29年7月の本格的な情報連携に向けて円滑に運用されていくためには、何よりも制度に対する国民の理解が重要でございます。
 そのための周知は一義的には制度設計をした国が責任を持って行うべきと考えております。これまで国ではテレビ、ラジオ、新聞、ホームページ、ポスター等の広報や、コールセンターの開設、事業者や自治体への説明会の開催などを実施しております。しかし残念ながらいまだ周知が十分だとは言い切れないのが実態であると捉えております。国に対しましては周知・広報の早急な強化を求めるとともに、ホームページ等による広報、出前講座での説明、県内コンビニなどの広報用冊子などの設置など、県としてもできる周知・広報に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
【和田議員】
7)マイナンバー制度が国民生活や行政手続き、さらに企業の業務等にどうように利用されていくのか、果たして国の思うように運用ができるのか、まったく予想もつきません。個人番号が割り当てられた「通知カード」があれば当面は個人番号カードがなくても運用はされていくと思いますが、混乱は避けられない事態になると思います。
 当初の3分野のほかに、この先さらにメタボ健診の履歴、預金口座との結びつけなどが国会で決まってしまいました。さらに消費税率引き上げ時の軽減税率の議論に絡めて、マイナンバーカード利用の議論まで出てくるなど国が暴走しているとしか思えません。まともな運用ができるか現時点ではわからないのに、さらに先の利用まで想定して利便性の向上を言うのは危険ではないでしょうか。率直にどう思っているのか。知事お聞きします。

8)国が国民の所得や資産を効率的に掌握でき、税や社会保険料などの徴収強化、社会保障の給付抑制につなげることが容易になる、まさに、国にとっては都合の良い制度かもしれません。しかし、それが国民にとって良い制度といえるのでしょうか。システム改修、セキュリティー対策などの負担増に加え、情報漏えい・流出の不安が拭えない現状のまま実施・運用されることがないように、国に意見をあげていくべきではないでしょうか。知事はどう考えておられるか、お伺いします。
【阿部知事】
 マイナンバー制度について2点ご質問にお答え申し上げたいと思います。
7)まず先の利用まで想定しての利便性の向上というのは危険ではないか。どう思ってんのかというご質問でございます。マイナンバー制度、2015年の政府のIT戦略の中におきましても今後のIT促進に係る重要な基盤となり、国民生活の安全・安心・公平・豊かさを実現するものとされているわけでありまして、まさに国家プロジェクトとして位置づけられるものというふうに考えております。
 本年3月以降、マイナンバーの利用範囲の拡大については、国会の場で様々な立場や観点から活発なご議論がなされ、9月の法改正に至ったものというふうに理解をしています。こうした経緯を踏まえ、国としてはぜひ期待をしっかりと果たしてほしいというふうに思っております。県としては制度の円滑な導入に向けて、システム整備やセキュリティー対策など求められる対応に万全を期していきたいと考えています。

8)国への意見というご質問でございます。マイナンバー制度、この導入が円滑になされることは日々住民と向き合い地域の住民サービス向上に取り組んでいる全国自治体共通の課題でございます。そのためこれまでも全国自治会を通じて国民に信頼される社会基盤としてのマイナンバー制度が導入されるよう、情報漏えいなどのリスクについて不断の検証を重ねた個人情報保護対策をすることなど、国に対しては必要な要請を行なってきております。
 今後も制度の概要やメリット、安全性や信頼性を国民へていねいに説明すること、セキュリティー対策を再度総点検し、国民の信頼が得られる安全対策を示すこと、地方公共団体が実施するセキュリティー対策など必要な経費について財政措置を講じること、詐欺や悪質行為の未然防止に万全を期すこと、中小企業、小規模事業者に対し必要な支援を行うことなど、全国知事会と連携しながら国へ要望してまいりたいと思っております。以上です。
【和田議員】
 ぜひ知事には、県民生活を守る立場から引き続き頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

2.子どもを性被害から守るための県の取組について

【和田議員】
 次に子どもを性被害から守る取り組みについて伺います。
 知事が言われますように、「被害にあい苦しみ傷ついている子どもが存在しているという状況から対策を考えて行こう」ということは、まったくそのとおりで共感しています。
 長野県は全国で唯一、条例制定せず青少年の健全育成を進めてまいりました。全国の都道府県が青少年保護育成条例等を制定していくなかで、条例ではなく県民運動と教育の力で取り組んできたことは、長野県の歴史のなかで特筆するに値するものだと思います。知事はどう考えておられるのか、繰り返しになる部分もあると思いますが、お聞かせください。
【阿部知事】
 青少年健全育成についての本県のこれまでの取り組みについての認識でございます。本県の青少年健全育成の取り組み、地域ぐるみの県民運動として取り組まれてきたわけでございます。有害図書類の自動販売機の撤去等、大きな成果を上げてきたものというふうに考えております。長い間県民の皆様方の力でこの青少年健全育成に取り組んできたことは、全国に対しましても誇れるものというふうに考えています。
 他県の青少年保護育成条例の様な、有害図書の販売規制等青少年にとって有害な環境の浄化を図るための様々な規制を包括的網羅的に盛り込んだ条例については、私としてはこれまでも制定する考えはないということを申し上げてきてまいりますけれども、今後とも本県の青少年健全育成は、県民運動中心に進めていくというこの点については、変わりは無いというふうに考えております。以上です。
【和田議員】
 青少年の健全育成についてはこれまでと同様県民運動中心にすることに変わりはないと今ご答弁ありました。
 吉村知事答弁では、「私どもは、青少年の人権を守るための条例ではなくて、人権を尊重するがゆえに条例をつくらないで、住民運動を主体にした運動を展開していくということがより人権の尊重につながるというふうに思っておりますので、ご理解をいただきたい」、こういうふうに信念を持って県民運動に取り組んでまいられたことがうかがえます。

①知事は、条例モデルは他県の条例とは全く異なるものだと言われますが、他県とは何が違うのでしょうか。
 子どもを性被害から守るための議論をするための一つの材料として、条例モデルを示すということであったと思いますが、被害にあい苦しみ傷ついている子どもが存在しているという状況から対策を考えていこうということが、法律で罰せられないケースについて条例に罰則規定がいれられるようにと、構成要件の検討に腐心され、条例を制定することがいつの間にか目的になってしまっているのではないかと思えるのですが、この点を知事にお伺いします。

②CAPながのの資料を拝見したなかで、興味深いものがありました。それは、警察庁(科学警察研究所)で、性犯罪容疑者になぜその被害者をねらったかを調査したものです。それによりますと、
 「おとなしそう/抵抗されないと思ったから」これが48%
 「警察に届けないだろうと思ったから」これが45%で、この2つを足すとほとんどを占めています。
 「挑発的な服装をしていたから」というのはわずか5%にすぎません。

 大人の側の、意識や認識を変え、高めることも必要ではないかと思います。意識を高める啓発活動・県民運動が大事ではないかと思いますが、知事にお伺い致します。
【阿部知事】
 2点ご質問を頂きました。
①他県の条例と何が違うのかと、条例制定が目的になっているのではないかというご質問でございます。今回の条例モデル、念のため申し上げますけれども、まだ条例案という形になったものではなくて、法制的に詰めるべき点を中心に、法律の専門家方が取りまとめたものというものであります。
 この条例モデル、本県を除いて46都道府県では、都道府県によって若干名称は違いますけれども、いわゆる青少年保護育成条例とはだいぶ異なるものというふうになっております。
 少していねいにご説明いたしますが、まず目的であります。他県の条例、これは青少年に有害な環境の排除を目的として、有害図書の販売規制やインターネット適正利用のための規制など、様々な規制を盛り込んで社会秩序の維持を図るという、社会的法益を保護法益としているものであります。今回お示しいただきました条例モデルは、子どもを性被害から守るという目的に特化した上で、予防教育や救済のための支援に加えて刑罰法規の謙抑性に配慮した最小限の規制が提示されているものでありまして、子ども本人を守る個人的法益を保護法益というふうにされているものでございます。
 また構成要件、他県の多くの県では、子どもに対する大人の性行為を「淫行」あるいは「淫らな性行為」というかたちで表現をされています。この条例モデルではこうした表現は使わずに、行為を「威迫等による性行為等」に限定をいたしまして、最高裁判決においても解釈に疑義を示す意見がありました「淫行」という表現を使用ぜず、どの様な行為が違法行為に該当するのかというという構成要件の明確化が図られているところであります。
 また多くの県の条例では性行為等を見せ、教えるという行為にも罰則が付けられているわけでありますが、今回の条例モデルでは刑罰法規の謙抑性の観点から禁止行為の規定は置くけれども、罰則は無しというかたちの整備になっております。
 こうした様々な違い、他にもございますけれども、今回の条例モデル、他県のいわゆる青少年保護育成条例とは大きく異なるものだというふうに考えております。
 条例制定が目的ではないかというご質問でありますが、子どもを性被害から守るための取組み、2年以上前に専門委員会を設置して様々な検討を加え、そして予防のための教育を始めできることはすでに並行して取組もうということで取り組んでいます。また県民運動についても先ほど申し上げました様にこれまで通り、これまで以上に重要だということから県民運動に対する支援を充実させていただいているところであります。
 そういう意味で今回この子ども性被害から守るということの目的の中で、この条例の在り方も検討して来ているわけでありますが、決して条例制定そのことのみが目的であるというご指摘は当たらないというふうに考えております。以上でございます。

②もう1点県民運動の再構築についてもご質問を頂きました。先ほど申し上げたように県民運動については、これからも大変重要でありますし、また県民運動、しっかりと再構築していくという必要性は私も認識をしております。
 県民運動の再活性化と致しましては、まず青少年育成県民会議、ここに子どもの相談支援を行っていただいております県の看護協会あるいは臨床心理士会等の代表者にも加わっていただいて、組織体制を今年強化をさせていただいたところであります。
 それから先ほども少し申し上げましたけれども、今年度県からの補助金につきましても通年ベースで比較すると概ね倍増させるということで、県民会議の取り組みに対する支援を強化をしています。地域から子ども達を見守り育む実働部隊となる青少年サポーターの配置でありますとか、あるいは官民協働によります青少年インターネット適正利用推進協議会の設置などにも着手をしているところであります。 これからも青少年支援を行っていただいている皆様方と力を合わせて県民運動の更なる活性化に取り組んでいきたいというふうに考えております。以上です。
【和田議員】
 まちの保健室で相談活動をしている方は、「子どもを性被害から守るためには、子どもたち自身に自分を守る力をつけさせることが大事だ」と言われております。
 性被害を防ぐには、子ども自身が「これはおかしい」「Noと言える」「泣き寝入りはしない」という力をつけることが大事です。
 すでに、子どもの性被害防止教育キャラバン隊がすべての県立高校に派遣される取組が行われていることや青少年指導者向けの研修支援など教育、相談体制の充実がされることは歓迎します。
 あわせて、小学校・中学校・高校と子どもの心と体の成長・発達の段階に応じた性教育を行い、自分がかけがえのない命であること、自分と同じように友だちもかけがえのない命であることを学ぶ。「生と性」の教育によって子どもの意識を培うことが、子どもの性被害防止教育キャラバン隊の活動をよりよいもの、みのりあるものにすることになるのではないでしょうか。この点は教育長にお聞きします。
【教育長】
 学校におきます「生と性」に関する指導に対するお尋ねでございます。いのちの大切さにつきましては、道徳に時間において生命の尊さを理解し、かけがえのない自他の生命を尊重することを学ぶなど学校の教育活動全体を通じて指導しているところであります。また性に関する指導においても、生命や自己及び他者に対する個性を尊重するとともに、相手を思いやり望ましい人間関係を構築する力をつけることを重視し、保健体育や特別活動の時間に児童生徒の発達段階に応じ行っているところでございます。
 教育委員会では子ども達を取り巻く性に関する多様な問題に対応するため、教員向けの指導資料とし、昨年3月に性に関する指導の手引を、更に今年の3月には実践的で専門性の高い外部指導者の活用促進を図るための実践事例集を発行しており、これ等の手引で具体的な指導事例や指導方法を示しているところでございまして、また教員を対象と致しましても、実践的指導法を習得するための研修会も開催しているところであります。
 今年度から新たに始めました性被害防止キャラバン隊の取り組みと、これまで取り組んできている学校における取り組みと相まって今後も児童生徒が性に対する正しい知識を身につけるとともに、自己や他者を尊重する態度が醸成されるよう、学校における指導に努めてまいる所存であります。
【和田議員】
 「生と性」の教育。かけがえのない命の大切さを学んで、性は興味の対象ではないと考える力をつけて、「いやなことは嫌だと言える」こどもに育つことで、未然防止につながるように引き続き頑張っていただきたいと思います。よろしくお願い致します。

 県民運動を再構築していくことが大事だと知事も言われています。
 全国で唯一、条例を持たず、県民運動にとりくんできたからこそ、子どもたちのためにいろいろな取り組みに力を尽くしている方々がおられます。日頃から子どもを性被害から守るための活動や、被害を受けた子どもたちの相談などに取り組んでいる心理カウンセラーやチャイルドライン、CAP。まちの保健室など地域で、民間でさまざまな取り組み行われています。
 養護教諭の皆さんを中心に、子どもの要求にこたえて正確な情報を伝え、子どもとともに「性」のあり方や生き方を考え、たくさんの性教育の実践を積み重ねている「人間と性の教育研究協議会」の取組などもあります。
 そういうみなさんの意見を聞くために、様々な機会や形の議論の場を作っていただくことはできないかと思いますが、知事この点いかがでしょうか。
【阿部知事】
 青少年支援行っていただいている方々、様々な教育を行なっていただいている方々、そういう方々と意見交換をすることについてはやぶさかではございません。教育委員会が対応する部分もあろうかとも思いますけれども、必要があれば検討させていただきますが、ただどういう内容でどういう目的であるかということは、整理しないと私もいろんな方から面会したいとか懇談したいという要望があるわけでありますので、そういう中で対応は考えさせていただきたいと思っております。以上です。
【和田議員】
 ぜひいろいろな方々から意見を交換していただく場を作っていただくということで、よろしくお願いいたします。
 条例モデルの検討の前提は条例制定のために検討・議論してきたわけではなくて、条例制定の是非も含め広く議論するための材料の一つとしてだされたものではなかったのでしょうか。知事はこの議会開会日の提案説明で「県議会の議論をはじめ県民の皆様の考えを聞いた上で、県としての方針を決定してまいりたい」このようにご説明していたと私は思いますし、何度も説明書を読み直してそう書いてありました。ところが一昨日「条例を制定する方向で」との方針を表明した答弁です。そういうふうに言われたことで、この方針はいつどうして転換してしまったのだろうかと大変驚きました。県民参加の議論の保障、議会での議論を受けとめていただけると思っていたのでありました、私としては完全に裏切られたという思いでありました。そうであれば、議会に対して、県民に対して、制定を前提に条例モデルをお示ししましたと言うべきではなかったんでしょうか。理解できるように説明していただきたいと思います。知事いかがですか。
【阿部知事】
 お答え申し上げます。もともと条例制定ありきだったとしか考えられないと、ちゃんと説明をせよというご質問でございます。今回この議会でもご答弁させていただきましたように、条例のモデルをもとに県民の皆様方と意見交換を行わせていただいて、県民の皆様方のご理解が得られれば条例案として取りまとめて議会の皆様方の審議に供したいとこういうふうに考えております。
 この条例を制定する上で考えなければいけない点が大きく二つあると申し上げてきました。一つは罰則規定等設ける場合、今回の、たとえは性行為をどうするか、どう対応するかという時の構成要件の明確化をはじめとする法的な問題点があります。それから先ほどご質問いただきましたように、長い間県民の力で青少年を守ってきた、育ててきた、その長野県でありますから県民の皆様方の広いコンセンサス、この二つが私としては重要だというふうに考えています。
 率直に申し上げまして、法的な部分については、私自身も様々な論点があり、そして率直に言って懸念される部分もありうるというふうには考えてきました。ただ今回条例モデル、法律の専門家の皆様方が真摯にご議論いただく中でそうした点についてはかなり明確な方向性を出していただけたものというふうに考えています。
 そういう観点で今まではいわゆる青少年健全育成に、先ほど申し上げたように、他県46都道府県で制定している青少年健全育成条例なるものが、長野県が議論するものなのかどうなのかというところがはっきりしなかった訳でありますが、今回いわゆる条例モデルが出されたことによって県民の皆様方と議論をするベースがやっと作られたというふうに考えております。
 そうした上で、私としては、実際に被害を受けている子ども達がいるということは、これは見過ごすことができないというふうにかねてから思っておりました。そういう中で、私自身のスタンスを、一定程度方向付けをする中で県民の皆様方と意見交換を真摯に行い、そして県議会の皆様方にもていねいにご説明をして、理解を得ていきたいというふうに思っております。
 そういう意味で、冒頭申し上げましたように、県民の皆さんと意見交換を行い、そしてご理解を得られれば、まだ条例モデルと条例案はだいぶ違う状況でありますので、そういう意味でご理解が得られれば条例案として取りまとめて県議会の皆様方のご審議に供したいとそういうふうに考えているところであります。以上でございます。
【和田議員】
 ご答弁聞いていても、いったい知事は何を言おうとしているのかがなかなか飲み込めないんですけれども、自分のスタンスとしては制定の方に方向付けようかなと、でも条例制定ありきじゃなかったんだよというようにも受け取れますので、本当によく分からない、もうちょっと分かりやすく説明していただきたいと。理解できるように説明していただきたいと先ほど言っているんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 また知事は、条例モデルをもとに議会で議論をと言われているわけですけれども、実はこの、条例モデルだからと、条例案じゃないからということで、私たち議員にたいしてはこの条例モデルそのものが配布されているわけではありません。お聞きしたら「条例案」ではないからということで、担当委員会の委員にはこの条例モデル案が届けられということであります。けれどもやっぱり、議論をしてほしいということであればこの条例モデルそのものを、私たち議員にもしっかり出して頂いて、検討会の経過などについてもご説明いただく、こういうことを議会にもしっかりと説明していただく、県民にもさらに丁寧に説明していただく。知事がこれから制定をしていこうとするにしても、もしそうでないとすればそれでいいんですが、そこから議論が始まるのではないかと思いますがいかがでしょうか。
【阿部知事】
 今回の条例制定の方向で意見交換していくということについて、より明確に説明せよということであります。
 先ほどできる限りていねいにご説明をさせていただいたつもりでありますけれども、私とすれば、やはりこの問題については慎重に対応しなければいけない問題だというふうにかねてから考えておりました。
 そういう意味で、私の率直な思いとして、法制的な部分、私自身が自分の中で整理できないものを意見交換の場には持っていけないなと思っておりました。そういう意味で、今回条例のモデルということで、条例案自体ではありませんけれども、まさに議論の論点となっているような、構成要件であるとか法的な部分についての方向性が出されたわけであります。そういう意味では、この条例モデルをもとにして県民の皆様方と意見交換をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。ただその際、私自身が全くですね評価が無いと、この条例モデルについて私自身がどういう思いを持っているかということが伝わらなければ、いわゆるこれは県民に対するご説明としては不誠実ではないかなというふうに思っております。
 そういう意味で、今回先ほど申し上げたように、しっかりとした手順をこれからも踏んで、広く県民の皆様方のご理解、そして県議会の皆様方のご理解が得られるようにしていきたいというふうに思っております。

 次のご質問にございました、県議会にそうは言ってもモデルすら示されていないじゃないかというお尋ね、これはごもっともだと思います。
 私どもこの条例モデルについては議会の皆様方に十分ご説明をしていかなければいけないというふうに思っています。まずは所管委員会であります県民文化委員会においてご説明をさせていただく予定でありますけれども、今後ともていねいにご説明させていただく中で、ぜひ県議会の皆様方にも内容について、ぜひ先入観を持たずにご覧をいただければ有り難いというふうに思いますし、また県民の皆様方とも、私も県職員と一緒になって意見交換をさせていただいて、多くの皆様方のお考えをしっかり受け止めた上で、最終的な方針決定をしていきたいというふうに思っております。以上です。
【和田議員】
 今のご答弁は、またちょっと確認をさせていただきますと、現時点では制定ありきではないと、こういうふうな理解をしていいのかどうかということで、もう一度確認したいと思います。
【阿部知事】
 お答えを申し上げます。何度もお答えを申し上げているつもりでございますけれども、広く県民の皆様方に意見交換これからしていきます。各種団体の皆様方とも意見交換をしてまいります。そうした上で、県民の皆様方のコンセンサスが得られれば、条例案を取りまとめてですね、その上で議会にお諮りをしていくということでございます。
【和田議員】
 先ほど、他県の条例とは全く異なるものだというお話がありました。これ、他県と大きく異なる、淫行などと表現を変えても実際やられる行為は同じではないかと思ってしまう。思ってしまうというか、そうではないかと。そうした場合、知事やっぱりこれ、子どもを性被害から守るということの条例ではなくて、青少年保護育成条例そのものが提案できないからこれに特化したと、穿った(うがった)見方と言われればそうなのかもしれないけれども、結局ストレートに出せばいいじゃないかと、せっかく条例モデルをここまでご苦労してやっていただいた方々には申し訳ないですが、そういうことだったんじゃないかなと私は今、そういうふうに思っているわけです。
 それで、制定ありきではなくて広く議論していこうというふうに今言われましたので、ぜひ広く広く議論をしていただきたいということなんですが、まさか、知事はこの条例モデルをもとにご議論いただきましたと言って、このモデルを条例案というふうに書き換えて次の定例会に提案することになるのではないかと、この点についてお伺いしておきたいと思いますが、よろしくお願い致します。
【阿部知事】
 今後のスケジュールについてのご質問かと思いますけれども、私自身先ほど申し上げましたように、県民の皆様方としっかり意見交換するなかで方向付けをしていかなければいけないと思っております。
 県議会の皆様方に条例モデルをお示ししていない段階で、大変申し訳ないと思っておりますが、そういう意味では、先ほども他県の、たとえば単に「淫行」を明確にしたということだけではなくて、たとえば議論の中では「誘惑」、最高裁判例で「淫行」の解釈の中に「誘惑」ということもあります。「誘惑」については、たとえば通常の恋愛でもあり得るのではないかということから採用されていないといったようなことも含めて、かなりきめ細かい検討の上にこれができていると、また私も他県と同じような青少年健全育成条例を作る考えは無いというようなことは冒頭も申し上げた通りでありまして、ぜひそうした点についてはご理解いただければというふうに思っております。以上でございます。
【和田議員】
 いずれにしても議論はこれからというふうに伺ったところであります。議論を広く進めること、拙速に進めないで欲しいということを言わせていただきます。
 知事に最後にもう一言言わせていただきますと、議論で抜け落ちていることがあるのではないかと思うんです。それは、インターネットで知り合った人に会いに行ってしまうとか、深夜外出するとか、こういう表面的なことでは分からない、子どもの本心を聞くこと、子どもの声をしっかりと聞き取って欲しい、これが本当に大事なことになるということをお話しまして私の質問を終わります。

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