日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2016年2月定例会 藤岡義英議員一般質問

  1. 信州パーキング・パーミット制度について
  2. 雇用問題について
  3. 子どもを性被害から守るための条例骨子案について

1.信州パーキング・パーミット制度について

【藤岡議員】
 おはようございます。藤岡義英です。順次質問いたします。
 信州パーキング・パーミット制度について質問いたします。この制度については、11月定例会でも取り上げさせていただきました。様々な施設に設置されている障がい者用駐車区画を適正に利用していただくために、障がいのある方や高齢の方、妊産婦の方など歩行が困難な方に県内共通の利用証を県が交付する制度です。この制度の導入を歓迎するものであります。
 この制度は最初の半年間は県のみで実施したあと、市町村へも移管する方針と聞いています。県だけでなく市町村でも交付してもらえるようになることは利用者にとっては大変ありがたいことですが、市町村の担当の方などからは「2月の県からの説明で初めてこの制度を知った。よい制度だと思うが、半年後に市町村も窓口になってくれと話に、正直戸惑っている」との声がありました。制度の内容について市町村や関係施設などへ周知徹底をていねいに行うことが必要だと考えますがいかがでしょうか。
 長野県の制度では、車いす使用者用の幅広の駐車区画に加え、歩行困難な方などのために通常幅の駐車場を確保するプラスワン方式を推進することになっています。制度実施要綱では、車いす使用者用駐車区画、障がい者等用駐車区画(プラスワン区画)とも同程度の数を確保するように書かれています。
 プラスワン区画の対象者は、車いす以外の方、けが人や病人、妊産婦など多岐にわたるので、利用者はかなり大人数になると思われますが、これで十分な駐車場は確保できるでしょうか。さらに2、3カ所は確保出来るよう呼びかけていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
 パーキング・パーミットを導入している愛媛県などでは、車いす利用者分の駐車場が埋まってしまい利用しにくくなっているとのことです。また、利用証を交付する制度としていても不適正利用者が後を絶たない問題もあります。長野県は後発県として、他県等の事例を踏まえて対策は考えていますか。以上3点を健康福祉部長にお聞きいたします。
【健康福祉部長】
 信州パーキング・パーミット制度についてのご質問に順次お答えいたします。
 まず、市町村など申請窓口拡大についてでございますが、ご指摘の通りこの制度については、今月2月上旬に市町村福祉担当者への説明会を開催し、その中で本年10月以降利用証申請の受付等を市町村の窓口においても実施することについて意見照会を行ったところでございます。これは申請する県民の利便性向上の観点から制度導入時は県のみとしている申請窓口を、住民に身近な市町村にも拡大すべきではないかという考えに拠るものであり、そもそも昨年12月に開催した県社会福祉審議会において市町村を代表する委員からご提案をいただいたものでございます。さらに市町村の窓口において申請する場合は身体障がい者手帳等により要件を確認することで、利用証の即日交付の対応も可能となるものと考えております。今後市町村長への説明や福祉担当者との意見交換をていねいに行い、市町村においても申請窓口として対応していただけるようになった場合には具体的な受付事務の範囲を定め、県において詳細な事務処理マニュアルや窓口対応のQ&Aを作成して説明会を開催するとともに、広報媒体を活用した県民への周知に努めまして、制度の円滑な運用を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次にプラスワン区画の確保についてでございます。プラスワン区画は車いす用区画と同数以上を確保していただくよう施設管理者にお願いしているところでございます。協力施設の登録を開始したばかりであり、2月25日現在の施設・店舗数は22にとどまりますが、区画の確保数は車いす用46、プラスワン区画38の合計84で、1施設当たり平均であわせて3.8区画を確保していただいているところであります。4月20日の制度のスタートに向け関係団体を通じた周知やラジオ番組による広報などにおきまして幅広く協力を呼び掛けることに加えまして、企業等へ個別訪問による依頼も行うことによりより多くの施設の協力が得られるよう取り組んでまいります。
 次に駐車場の円滑な利用と不適正利用者の対策についてでございます。パーキング・パーミットをすでに導入している県のうち、車いす用使用者優先区画の他に妊産婦やけが人用の優先区画を設けていない県では駐車区画の不足が課題となっていることから、本県ではプラスワン方式を推進して、それぞれに駐車できる区画を増やすように取り組んでいるところです。また不適正利用者の対策といたしましては、駐車場の適正利用を促すポスターを公共機関や商業施設等に掲示して啓発に努めるほか、施設管理者に対して不適正な駐車車両には制度を周知するチラシをワイパーに挟み込んで注意してもらうことを依頼することで周知徹底を図ってまいりたいと思います。以上でございます。
【藤岡議員】
 欧米の多くでは指定区画への違法駐車は、人道上の罪として、普通の何倍もの罰金となるそうであります。「罰則の強化などが、これから求められてくるのでは」との専門家の指摘もあります。利用者のみなさんに歓迎される制度に、また半年後には市町村でもスムーズに交付窓口が開設されるよう、ご尽力していただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。

2.雇用問題について

【藤岡議員】
 雇用問題について質問いたします。先日も各会派の代表質問で、非正規雇用が県内でも39%との話がありました。大変衝撃を受けております。その非正規雇用対策をはじめ、ブラック企業対策、内需拡大に向けた経済対策を求めてきました。ちょうど1年前の代表質問では、東京都の非正規雇用対策の取り組みを紹介させていただきました。
 その後も東京都は国の制度も積極的に活用し、15年度予算では26億円を計上して、「長期ビジョン」で数値目標を明確して、具体的な拡充を進めています。今働いている職場で正社員への転換をする企業への助成(転換型)、非正規労働者を正社員として新たに採用する中小企業への助成(採用型)などを始めています。転換型として「正規雇用転換促進助成事業」では就職規模を1500人。採用型はメニューは5つあり、転換型・採用型合計1年間で正社員5000人の就職規模を目指すとしています。
 一方、長野県も同様に、①座学と職場学習を組み合わせた研修で直接正規雇用に結びつけようという取り組み、②子育て期の女性や、若者を対象とした取り組み、③そして多様な働き方実践企業認証制度などに取り組んでいくとの答弁。
 ブラック企業対策としましては、①労働教育講座を開催、②就職前の高校生など新社会人向けのテキストの改定、③労政事務所巡回相談、メール相談などなど、多面的にご尽力していただける内容だったと認識しております。
 ではこの1年間で、どれくらいの実績があったのでしょうか。非正規雇用対策、ブラック企業・ブラックバイトなどの対策にとりくんでみての成果と課題について、さらに今後の対策・取り組みをどのように進めていくのかについて、産業労働部長にお聞きいたします。
 東京都では年間5000人、2017年までの3年間で1万5000人の非正規労働者を正規雇用にすること、国などと連携して不本意非正規を2022年には半減させる目標数値を「長期ビジョン」で明らかにしています。長野県としても非正規職員の正社員化に対し、具体的な数値目標を掲げてはどうでしょうか。知事にお聞きいたします。
【産業労働部長】
 2点順次お答えいたします。
まず正社員化に向けた取り組みについてのご質問でございます。おたずねの座学と実習を組み合わせた研修ではこれまでに260人を超える若者の正規雇用を実現し、そのうち今年度は現時点で72人が正社員になっており、来年度も引き続き実施を予定しております。またジョブカフェ信州では、今年度は先月末現在で603人の方を正規雇用につなげているほか、子育て中の女性の就職相談でも22人の方が正社員として就職されております。ともに来年度は支援体制の強化を予定しております。そのほか多様な働き方を実践している企業の認証制度は、スタート以来7社を認定いたしましたが、引き続き認定企業の拡大を図ってまいります。こうした取り組みを進める中で、県全体では昨年4月から12月までで新規学卒者を除き1万2000人を超える方々が、ハローワークを通じて正社員として就職をしております。また正社員の増加に向けましては、まずは企業の正社員の求人を増やすことが一番の課題と考えております。ただ今お話ししました取り組みに加えまして、労働局と連携して経済団体に対する要請活動も継続して実施し、県内の正規雇用の増加を図ってまいりたいと考えております。
 次にいわゆるブラック企業に対する対策についてでございます。労政事務所に設置しましたいわゆるブラック企業問題を含めた過重労働党防止相談窓口では、今年度一般的な相談も含めましてこれまでに1000件を超える相談が寄せられました。特に最近労働時間、休日関係や職場の人間関係の相談が増加してきております。そこで昨年11月の過労死等防止啓発月間では、長時間労働削減に向けた労務管理などをテーマに県下4カ所で労働教育講座を開催し、175人に上る方々にご参加いただいております。またブラック企業対策では、正しい労働関係の知識が必要と考え、若者を対象とした「はたらく若者ハンドブック」に今年度新たにアルバイトに関する注意事項も追加し、学校など関係機関に配布したところでございます。またこのハンドブックは「新社会人ワーキングセミナー」でも使用するなど、具体的な知識普及にも取り組んでおります。県といたしましては今後も労働局をはじめ関係機関と連携しながら効果的対策となるよう工夫を加えながら進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
【阿部知事】
 雇用問題に関連して正規職員化についての具体的数値目標を掲げてはどうかというご質問でございます。長野県では「信州創生戦略」の中で若い世代の経済的安定への支援ということを掲げております。この中で正社員化を進めるためのKPI(重要業績評価指標)として労働局とも協議をさせていただいた上で、正社員就職件数を指標として、目標として設定しています。具体的には件数を正確に把握できますハローワーク経由の正社員就職件数につきまして、平成31年度に現状の年間1万6300人を1万7100人とすることを目標としておりまして、この実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。以上です。
【藤岡議員】
 東京都では正社員の就職規模を5000人と位置づけていたものを、新年度の予算では9000人規模に拡充させる事業を提案しているそうであります。とくに、正規雇用換促進助成事業については15年には1500人規模だったものを一気に6500人に拡充するとのことでした。やはり今働いている職場での正規雇用化―転換型が成功しやすいのかなと思うわけです。
 また中高年の非正規の方々の正規雇用化へのとりくみがなかなか難しいとのことで、今後の課題となるのではないかとのお話でした。ぜひ参考にしていただきたいと思います。またぜひ目標数値は非正規から正規へどれだけ人数が変わったのかといった目標もぜひ検討していただくことを要望したいと思います。だれもが希望すれば正社員!安心して働ける長野県!となるよう、引き続き取り組みを進めていただくことを要望しまして、次の質問に移ります。

3.子どもを性被害から守るための条例骨子案について

【藤岡議員】
 子どもを性被害から守るための条例骨子案について質問いたします。
 53の団体並びに保護者や若者を含めた一般の県民のべ447人との意見交換を行ったとありますが、200万人を超える長野県民に対し余りにも少ない人数だなというのが正直な感想です。若者とはたった2回の意見交換会、40人の参加のみであります。説明会の地域区分も偏りがあります。佐久地域では、意見交換会は全く行われていません。
 内容についても指摘します。1月11日に行われた知事と若者との意見交換会は、26人の若者の参加でした。私も傍聴に参加しましたが、5つのグループに分かれての「処罰規定を設けることについて」の討論。討論時間はなんとたったの10分だったわけであります。1つのグループに至っては、「10分間では条例そのものの議論はできなかった」との1分間の報告でした。条例については「条例よりも教育や大人・子どもの意識の底上げを」など賛否が別れました。12月の若者の意見交換会ついても、新聞報道では「若い世代処罰に賛否」「教育充実をの声」と報道されています。まったく大半が条例賛成とはなっていないのが若者との意見交換会だったと分析しています。県民との意見交換の人数、そして内容、どちらも不十分であり、今、骨子案を提案すること自体が拙速に感じております。
 そこでいくつか知事に質問いたします。
 まず、条例がないために,わが県の子どもの性被害が他の都道府県に比べて多くなっているという事実や客観的なデータはありますか。また他県では、淫行処罰条例が制定されたことにより、子どもの性被害は減少しましたか。
 県民運動を充実すべく予算が計上されていますが、この県民運動をさらに発展させ、成果を検証した上で、条例制定の議論をすべきではないでしょうか。
 今骨子案提出というのは、あまりにも拙速であります。数十年間淫行処罰条例なしで県民運動でとりくんできた長野県の誇りを投げ捨てるものと考えます。骨子案は撤回すべきであると考えますがいかがですか。
 また、骨子案発表後、パブリックコメントの実施を検討していると聞いておりますが、佐久地域のようにタウンミーティングや青年との意見交換会が行われていない地域もたくさんあり、今後も意見交換の機会をもっと設けるべきだとと考えますがいかがですか。以上4点を知事にお聞きいたします。
 また子どもを性被害から守るため、中学生のうちに学校で性教育をすることで子どもたち自身が責任のある決定、適正な行動がとれるように成長するのではないでしょうか。性への知識の弱さが性被害につながっており、中学生への性教育の充実をお願いしたいと思いますがいかがですか。この質問は教育長にお聞きいたします。
【阿部知事】
 子どもを性被害から守るための条例に関してのご質問に順次お答えしてまいります。
 まず性被害の状況、ちょっと誤解があるといけないので申し上げますが、いわゆる福祉犯として子どもの性被害関連犯罪というものと、今回条例で一定の性行為、欺網とか威迫による性行為を禁止するというものとはいわゆる性被害と、今回の条例骨子でも同じことですけど、使っているものの方が概念が広いということをまずしっかりと押さえていただきたいと思いますし、そういった前提でご答弁申し上げたいと思います。
 まず性被害の状況でございますが、今申し上げた福祉犯のうち子どもの性被害関連犯罪、これは児童買春・児童ポルノ禁止法、風営適正化法、児童福祉法、出会い系サイト規制法等でありますが、こうしたものの検挙人員は全国的にも増加傾向にあります。平成11年と15年後―平成26年の状況を比較いたしますと、全国では40.2%増という形になっております。これに同時期の増加率、長野県は平成11年と26年、同じ時期を比較しますと、増加率は166.7%ということで、倍以上の伸びという形になっています。従いまして全国に占める本県の検挙人員の割合も、1.3%から2.5%に上昇しているという現状がございます。いわゆる他県の一定の性行為に対しての処罰規定が制定された後の状況ということでありますが、本県の、こういった46都道府県すべてで子どもに対しての一定の性行為が禁止され罰則規定が設けてありますけれど、お分かりの通り、罰則をかければ全てが構成要件に該当して、その疑いがあれば検挙されるわけでありますけれども、条例がない段階ではそうした対象にならないわけでありますので、そもそも制定前は犯罪ではなかったわけでありますので、正確な比較というのはなかなか難しいところではあります。平成26年3月に取りまとめられました「子どもを性被害等から守る専門委員会報告書」におきましては、専門委員会でのご議論を踏まえて規制の効果について、いわゆる淫行処罰規定を制定した都道府県においては一般的に制定当初の数年間はかなりの検挙件数があり、次第に減少する傾向が見られると、検証は時間をかけて行う必要があるが一般的には直接的な効果も、抑止的な効果もあるというふうにされているところであります。
 この性被害の問題については国レベルでも厳罰化等の議論が行われているわけでありますけれども、昨年8月に法務省「性犯罪の罰則に関する検討会」、ここが報告書を取りまとめて公表いたしておりますが、その際、日本弁護士連合会会長が談話をくだされております。性犯罪の加害者を適切に処罰することは一般予防の見地からも特別予防の見地からも重要であると述べられているところでございます。こうしたことを踏まえて、私ども今回の骨子案を取りまとめているところであります。
 それから県民運動をさらに発展させる中で、成果を検証した上で条例制定を議論すべきではないかというご質問でございます。私は条例の制定いかんにかかわらず、県民運動これからもしっかりと活性化して県民の皆さんの力で子どもたちを守っていくということは大変重要だと考えています。しかしながら今回一連の検討の中で県民運動を中心的に担っていただいてきた青少年育成県民会議の県民運動見直しチームからは、社会環境の大きな変化の中での県民運動の限界を指摘する意見を踏まえて、条例に関しては、条例と県民運動は相反する関係にはなく、青少年健全育成を推進する両輪として必要との報告書が出されております。また県民の皆様方、団体との意見交換の中でも、子どもを支える活動をされてきていらっしゃる方の多くが条例制定に肯定的なご意見であり、県民運動と条例制定の両方必要だというご意見をいただいています。従いまして県民運動をさらに発展させた上でその後に条例制定の議論をするということではなく、両面での取り組みが必要だというふうに考えております。
 それから骨子案を撤回すべきではないかというご質問でございます。私とすればかなりこの間ていねいに検討し、県民との意見交換を重ねてまいりました。平成25年の5月に専門委員会設置したわけでありますから、もうすぐ3年が経つわけであります。その専門委員会でも委員会での検討ワーキンググループによる検討、さらには公聴会を行ってまいりました。またご提言いただいた後にも、平成25年の段階でもタウンミーティング開催させていただきました。またその後子どもを性被害から守る県の取り組みというものを平成26年の11月に決定をいたしておりますけれども、その間にはパブリックコメント、そしてタウンミーティング、さらには子ども支援関係者との意見交換も行わせていただいております。また昨年9月に条例モデルが検討会から示された後に私も直接県民との意見交換に臨ませていただき、タウンミーティング、子どもを支援する皆様方との意見交換、若者との意見交換させていただいてきておりますし、また県民文化部としても県内4地域での意見交換会であったり、あるいは子どもの相談支援にあたっている団体をはじめとする53団体の皆様方との意見交換をおこなって、県民の皆様方の声を真摯におうかがいをしてきたとところでございます。こうしたていねいな検討あるいは意見交換をおこなった上で、今回基本的な方針を取りまとめて、そして条例骨子案ということでお示ししたところでございます。ぜひ十分なご議論をいただきたいというふうに考えております。
 それから今後も意見交換の機会をというご質問でございます。さまざまな意見交換をおこなってまいりました。今後の進め方については今定例会におけるご議論を踏まえて検討してまいります。以上でございます。
【教育長】
 中学生の性教育の充実をというおたずねでございますが、学校におきます性に関する指導は学習指導要領に基づきまして保健体育の時間などを中心に児童生徒の発達段階に応じ行っているところでありますし、また思春期を迎える中学生期など生徒による発達の差が大きいことなども踏まえ、個々の生徒の状況に応じても個別指導を行っているところでございます。特に近年の社会環境の変化に伴いまして、性被害の防止など子ども達は様々な課題に直面しており、学校には子どもたちがこれらに対応できる確かな力を育成することが求められていると認識をしてございます。このため教育委員会では平成26年3月に教員向けの指導資料「性に関する指導の手引き」を作成し、さらに昨年の3月には実践的で専門性の高い外部指導者の活用促進を図るための「実践事例集」を作成いたしました。これらの手引きでは中学生を対象とし、自ら考えて判断する力を育成するため、たとえば性被害の事例を提示し、事件の概要を説明した上で、学習カードを使ってグループで加害者、被害者それぞれの行動の目的を考え、被害にあわないためにどう行動すればいいのかを考えさせる授業や、誇張や歪曲された溢れかえる性情報の中で、性情報を正しく選択し、行動を自己決定できる力を育む授業をブレインストーミングなどを用いて行うなど具体的な指導事例や指導方法を示しているところでございます。
 また教員を対象とする実践的な指導法を習得するための研修会や、県内全校の体育主任に対する最新情報伝達を行っているほか、来年度の初任者研修から新たに性被害に関する現状への認識を深め、これを防止するための具体的な指導方法について、全員が研修する時間を設けることと考えているところでございます。今後も児童生徒が性に関する正しい知識を身につけるとともに、自己や他者を尊重し適切な行動が取れる力を身につけるため、発達段階に応じたより効果的な指導方法を取り入れ、学校における指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
【藤岡議員】
 知事に再質問いたします。各会派の代表質問で知事は「他の都道府県の処罰規定よりも構成要件が明確化されている」また「国民の権利を不当に侵害しない濫用防止規定を盛り込んでいる」と答弁されました。しかし「威迫し、欺き、困惑」に限定したといいますが、特にこの条例骨子案の「困惑」の規定は大変問題であると考えます。といいますのも、私は「恋愛は困惑だ」と考えているからであります。「困惑させて行う性行為」は捜査機関による拡大解釈・恣意的捜査の可能性、被害者側が「困っていた」と申告すれば捜査が可能となるなどの問題が指摘されています。
 また男女の関係について「真摯な恋愛」かどうかの判断を適正にできるかどうかは難しく、正しく青少年の自由恋愛、心の領域に公権力が踏み込む問題であり、冤罪を生みやすいと、法律の専門家からも多数指摘されているわけであります。
 また濫用防止規定についてですが、捜査機関が「国民の権利を不当に侵害しないように留意して捜査した」と表明すれば何の歯止めにもならないわけであります。
 捜査機関が「真摯な恋愛」かどうかを適正に判断することができると思いますか。またこの処罰規定ある条例について、当事者である若者たちが必要にしていると思いますか。
 さらに、知事は代表質問に対する答弁で、「強姦罪、強制わいせつ罪、現行の刑法で罰則の対象になっている部分についても、冤罪の懸念があるから罰則を外すべきという議論を積極的に提起しているのかということにもつながりかねない」と発言されました。これは、どの犯罪にも冤罪が生まれる可能性があるとし、外形的な犯罪事実があったかどうかを捜査する性犯罪と同列視し、この条例によって冤罪が生まれる可能性あるのではと心配している県民に対し、「それは仕方がない」とも誤解される発言だと理解しましたが、あまりにも乱暴で暴論ではないですか。「困惑」という規定により、冤罪が生まれる懸念が強く県民にある事実について、どう考えておられますか。以上3点を知事にお聞きいたします。
【阿部知事】
 大変申し訳ない。いろいろと事前通告のないご質問をたくさんいただいたんで、ちょっと何と何がご質問なのか的確に把握できていないかもしれないんで申し訳ありませんけれども。
 まず「困惑」。「困惑」は恋愛に付き物だというご質問。これは見解の相違としか言いようがないものと思いますけれども、今回構成要件の明確化を図るに際しまして「誘惑」と、これは最高裁の判決の中ではいわゆる第1類型、第2類型とされる中で、青少年を誘惑し云々と言う型がありますが、ここについては通常の恋愛でもありうるのではないかということを多くの方たちに理解されるものではないかというふうに思っております。そういう意味で今回の条例骨子案の中ではそこは除外をしております。第2類型であるとか、第2類型というのは「自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交または性交類似行為」、あるいは第1類型の中でも「心身の未成熟に乗じた」というような表現、こうしたものは今回の骨子案からは除かせていただいているということでございます。
 それから「真摯な恋愛」。条例骨子案の中でもお示しをさせていただいておりますが、条例骨子案の中で「大人が、真摯な恋愛を除き、判断能力が未熟な子どもと性行為等に及ぶことは行うことは、子どもの成長発達を見守り、支える大人の責任として許されないもの」という表現がされております。ただこの「真摯な恋愛」でなければ罰則をかけるというものではないということは、この骨子案をご覧いただければお分かりになるんじゃないかと思います。基本的な考え方の部分とその法規制の対象となっている部分、あるいはさらにその内罰則の対象となる部分ということは、これは対象がさらに絞り込まれているということで、次元が違うといった方が適切なのかもしれませんけれども、「真摯な恋愛」でなければすべて罰則ですよと言う形にはなっていないということは、これご覧いただければお分かりになるんじゃないかというふうに思います。
 それからあとは「若者が必要」。これは県民の皆様方との意見交換、あるいは若者との意見交換の中でも様々なご意見はありました。大半は条例の必要性があるというふうに言っていただいてますし、このタウンミーティング以外でも、私も若い人とも話をしていますけれども、すべての若者がこういうものは不要だというふうに言っているということは、それはないと。私は、やはり全体としてはこうしたものの必要性ということを感じている若者も多いんじゃないかと。特に藤岡議員もご参加されたときですかね、高校生、友達がこうした被害者になったらそれは許せないと、大変悔しいというお話もありましたので、そうした若者たち、確かに様々な考え方あるかと思いますけれども、若者が一律に条例が不要だということではなく、若者の中にも、県民の中にも多様な意見はありますけれども、私の受け止めとしては、多くの皆様方が条例の必要性については、認識いただいているというふうに考えております。以上です。
【藤岡議員】
 もう一度知事に再質問いたします。実は私、2月22日と24日の夕方の数時間、長野駅前でこの条例について、まちかど若者意見交換会をおこないました。主に10代、20代の青年、中には17歳の高校生にもたくさん意見を聞くことができました。口説いていません。対話した人数は42人。この人数は県が主催した2回の知事と若者との意見交換会と同程度の人数です。この中で行ったアンケート結果を紹介したいと思います。
 まず、この淫行処罰が含まれる、子どもを性被害から守るための条例について知っていますか?との質問。知っている8人。知らないが31人(73%)でした。
 捜査機関や司法が真摯な恋愛かどうかを正しく判断できると思いますか?との質問に、なんと、できると答えた人はゼロでした。できないと回答した人は37人(88%)。わからないは5人でした。
 そして最後に、この条例は必要ですか?との質問に、必要と答えた人は2人(4.8%)。たった4.8%でした。処罰規定をのぞいて、性教育、人権教育、あとインターネットの適正利用の推進、また性被害者の支援などいい部分もありますということで、それ(処罰規定)を除いて必要と答えた人は9人。いらない。県民運動と性教育、人権教育の充実で充分と答えた人は21人(約50%)。わからない7人。つまり処罰規定をいらないと答えた人は合わせて30人(71%)でありました。
 この結果をお聞きになって改めて質問いたします。若者は処罰規定のある条例を必要としていると思いますか。知事にお聞きいたします。
【阿部知事】
 お答えします。まちかどでのアンケート、大変敬意を表したいと思います。今回私どもの意見交換の際には、会議の冒頭、私どもの方の考え方あるいは条例モデルをご説明した上で意見交換させていただいているわけでありまして、まったくそういう前提条件なしに行われるものと、一定の説明をした後のものでは、当然考え方、反応は違うものもありうるだろうというふうに思っております。そういう意味で私どもとしてこうした考え方、ご指摘のとおりもっともっと県民にはお知らせする努力は必要なんだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように「真摯な恋愛」について捜査機関が判断するというのは、それは私の立場から見ると明らかに誤った質問でありまして、「真摯な恋愛」であればよくて、「真摯な恋愛」でなければ罰則するというのが今回の条例骨子案ではないんで、そこはぜひご理解いただきたいというふうに思っております。いずれにいたしましてもこれまでのていねいな検討、それから意見交換を踏まえて、私としては、県として方針をお示ししたところでありますので、ぜひしっかりとしたご検討をいただければと思っております。以上でございます。
【藤岡議員】
 県の主催では県民の大半の方が条例に賛成でしたということでありましたが、私が主催したまちかど相談会では反対が大半だったなあというのが私の認識であります。
 まちかどで対話した青年の声を紹介します。「自分たちの恋愛にとやかく言われたくない」「青年の恋愛なんて今日は大好きでも、何かのきっかけで冷めてしまい、きらいになることもある」「突然告白されたら困惑する。その人とのつき合いが曖昧なままだったらどうなるのだろう...」などであります。
 何年間も慎重に検討してこられたとのことですが、専門委員会の中で行われてきた議論の期間が長かったということであります。肝心の県民との議論はまだ始まったばかりであります。これからさらに最低でも、当事者である若者たちが半数以上が理解できるまで議論を深めるべきであります。また国の性犯罪厳罰化の動きを見守るべきではないかとも思います。
 最後に、意見交換会に参加されていた松本在住の19歳女性に対して電話取材をすることができましたので、その方からの意見を紹介します。
 「あの後、同じグループで議論したメンバーと連絡を取り合い、考えを出し合っている。そういう点ではそのきっかけを作ってくれたいい意見交換会だったのかな。条例を作らなくても、若者は自分たちの問題として性被害についてどう考えていけばいいのか考え、そして解決していける力を持っていると思う。県はそうした若者たちの自分たちで考える力を、可能性を育てる手助けをしてほしい。見守ってほしい。条例がないことが恥ずかしいとの意見もあるとのことですが、高校生、若者の力を信じてもいいのでは。長野県に条例がないことが誇りではないですか。自分たちの心を育てる環境があることをこれからも誇りにしていきたい」
 この若者の力が県民運動そのものだと思います。こうした若者の力を信じることを表明し、いっさいの質問を終わります。

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