日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2019年2月定例会 代表質問 山口典久議員

    1. 知事の政治姿勢について
    2. 19年度県予算案について
    3. 子ども・若者支援について
    4. 児童虐待について
    5. 国民健康保険
    6. 人手不足
    7. 教員の長時間労働
    8. 高校改革
    9. 太陽光発電事業
    10. 大北森林組合事件
    11. リニア中央新幹線

〔1〕知事の政治姿勢について

【山口典久議員】

 日本共産党県議団山口典久です。日本共産党を代表して質問をいたします。

(1)消費税

 最初に安倍政権が予定している消費税10%への引き上げについて、知事の見解を伺います。 実質の家計消費支出は、東日本大震災があった2011年を底に、12年13年と弱々しく回復傾向でありましたけれども、14年の消費税増税を契機に大きく落ち込みました。5年前に比べて、年額で約25万円も実質消費支出は落ち込んでいます。また、2018年の実質賃金は増税前に比べて10万円以上も落ち込んでいます。

 この間、長野県の経済関係者の間でも、「いざなぎ景気を超えたというが、その実感はない」「企業の業績の歯車が逆回転することを懸念する」など、この先の経済への不安が広がっています。国民が苦しむ消費不況の下で、増税を強行していいのか今問われています。  知事は、昨年9月定例会における日本共産党和田あき子県議の代表質問への答弁の中で、消費税率の引き上げは経済環境に十分配慮しながら取り組むことが重要としながらも、増収分の半分は社会保障の充実と教育の無償化に充てられるとし、税率の引き上げを確実に行っていくことが必要と表明されました。

 しかし、社会保障は充実するのでしょうか。安倍政権の下2013年以降、マクロ経済スライド制による年金給付が2兆円削減されました。70歳から74歳までの医療費の2割負担、介護保険利用料の2割負担、さらに3割負担の導入などによる給付費の削減もありました。

 それだけではありません。生活保護費の引き下げなど、予算の自然増の削減分なども合わせると、社会保障費は7年間で4兆2700万円も削減されています。消費税率の引き上げで社会保障が良くなるどころか家計を直撃し、消費不況をさらに深刻にし、アベノミクスで広がった貧困と格差をさらに拡大することは明らかです。

 知事は、地方消費税分で県の財源が100億円近く確保されることも税率引き上げが必要とする根拠に挙げておられますけれども、財源が確保されても、それにより県民の暮らしや地域の経済が壊されてしまっては元も子もありません。県民の生活向上を第一に考え、10%増税の延期を求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

【知事】

 山口議員の代表質問に、順次お答えを申し上げたいと思います。  まず、私の政治姿勢ということに関連して、まず消費税率の10%引き上げについてでございます。 国におきましては、急速な少子高齢化が進む中、受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度を構築するため、随時、社会保障制度の見直しを行ってきているところというふうに認識しております。 国の社会保障関係の歳出予算トータルは、直近7年間で見ますと、2012年度の29兆円から2019年度の34.1兆円ということで、5.1兆円、社会保障関係歳出予算が増えているというふうに認識をしております。

 3年後の2022年には団塊の世代が75歳以上になり始め、医療・介護に要する費用がますます増加することが見込まれているというのが、今の現状だというふうに思っております。

 高齢化の進展等に対応して持続可能な社会保障制度を構築することが、私は極めて重要だというふうに思っております。個人の立場に立てば、私も負担は少なければ少ないほどいいというふうに思っております。しかしながら、それでは政府は一体何のためにあるんだと、行政は何のために仕事しているんだという話になるわけでありまして、生活保護を含めたさまざまな社会保障制度、国がしっかり基盤をつくり、そして我々地方自治体もしっかりと努力をする中で、維持・発展もさせていかなければいけないというふうに思っております。

 そういう意味で、現状認識を多くの県民の皆さまがたとも共有をさせていただいた上で、理解と協力を受けながら、この財政のあり方というものについても前に進めてかなきゃいけないというふうに思っております。

 これから、いわゆる若い世代が減少していく中で、将来世代の負担を先送りするということは私は許されないというふうに思っております。今を生きる世代で、できる限り幅広く公平に負担を分かち合うということが必要だと思いますし、また、景気動向に左右されない安定的な財源の確保ということも必要であります。

 そういう意味で消費税率の引き上げは、これはご負担いただく方々には大変申し訳ないところもありますし、制度の導入に向けては、経済動向にも注視しなければいけないというふうに思いますけれども、確実に引き上げて実行していかなきゃいけない状況だというふうに思っております。  また今回、消費税率2%引き上げでありますが、0. 5%は地方消費税、0.12%は地方交付税ということで重要な地方財源になるわけでありますので、地方自治を担う我々自身が評論家であってはいけないというふうにも思っております。

 県としても地方消費税の引き上げ分は、低所得の方々の介護保険料の軽減、そして幼児教育の無償化、また介護人材の処遇改善、こうした社会保障に関係する経費に充てることを予定してございますので、ぜひ多くの皆さま方のご理解いただきたいというふうに思っております。

 それから、安倍総理が憲法改正の議論を呼び掛けていることについて、憲法99条との関係で考えるかというご質問でございます。

【山口典久議員】

(2)9条改憲

 安倍首相は昨年来、国会において憲法改定を呼び掛けてきましたが、今年に入ってからも通常国会の施政方針演説の中で、国会の憲法審査会の場において各党の議論が深められることを期待しますと繰り返しています。しかし、長野県世論調査協会が昨年10月に行った調査でも、今、憲法改正が必要との回答は7. 0%で、不要が59. 3%でした。多くの県民は改憲を望んでおりません。それにもかかわらず、行政府の長である首相が立法府に号令を掛けるという今回の一連の発言は、三権分立の原則に反するものです。

 また、「天皇または摂政および国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」という憲法99条に反するものであり、看過できません。 安倍政権以前の歴代首相は、たとえ改憲を持論とされる方でも、在任中の発言は慎んでこられました。昨年9月定例会で、安倍首相の改憲発言への見解を問われた知事は、「政治的な見解を示されたもの」と述べていますが、政治的見解との一般的な捉え方では済まない問題ではないでしょうか。改めて知事の見解を伺います。

【知事】

 憲法99条、国務大臣、国会議員、裁判官、その他公務員がこの憲法尊重擁護する義務を負っているという条文になっておるわけでありまして、私も含めて、すべからく公務員は憲法を尊重擁護をするということが求められてますし、非常に重要な規定だというふうに私は思っております。

 ただ、憲法の定める改正手続きによる憲法改正について検討し、また主張することを禁止する趣旨のものではないと。これ政府としての見解も示されておりますし、また憲法改正自体は国会が発議するわけでありますので、国会議員も公務員でありまして、尊重擁護義務を、憲法改正の議論が全くできないというところまで拡大してしまうと、非常にこれは矛盾してしまうというふうに思います。そういう意味で、これはそうしたことを決して禁止しているものではないというふうに思っております。

【山口典久議員】

(3)家族農業

 2017年、国連は2019年から28年までの10年を国連「家族農業の10年」とする決議を採択いたしました。これは輸出偏重や大規模化などを推進してきた世界の農政が、家族農業の危機を広げ、貧困や格差、飢餓を拡大し、地球環境を悪化させてきたことへの反省から生まれたものです。

 これを受けて2018年9月28日、国連人権理事会において、「小農と農村で働く人々の権利についての宣言」が圧倒的多数の賛成で採択されました。この宣言は、農村女性の権利、自家採種を行う権利、食料や農業政策を決定する食料主権をうたい、さらに国は「農民が適切な生活水準を維持できる価格で農産物を販売するため、市場への」十分かつ公平な参加を保障しなければならないとしています。

 日本の農業経営の98%は大小多様な家族経営ですが、急速な減少と高齢化が進み、日本の農業が深刻な危機にある中で今求められているのは、「家族農業の10年」等に基づき、農業と農村を再生すること、政府の政策的な介入による価格と所得の安定だと思いますが、知事の見解を伺います。

【知事】

 「家族農業の10年」等に基づく農業農村の再生や、政府介入による価格・所得の安定に関する見解についてというご質問でございます。

 家族農業は、農業形態の9割以上を占めております。農業生産、そして農村コミュニティーの維持、農村の活性化に大変大きな役割を果たしてきていただいているというふうに思っております。そうした観点で、本県では、集落営農の推進あるいは、信州農業生産力強化対策事業など、県の単独事業で支援をしてきているところでございます。

 国においては、農業の担い手の減少を踏まえまして、大規模経営体への農地集積等を進めます一方で、食料・農業・農村基本法に基づきまして、小規模農家などの家族農業に対しても、所得の確保、あるいは価格安定のための施策を展開しているところでございます。

 国連の「家族農業の10年」の決議におきましては、加盟国等に対し、食料安全保障確保や飢餓の解消や環境の持続可能性の達成等に大きな役割を果たす家族農業に対する諸施策の推進などを求めておりまして、こうした取り組みは、持続可能な開発目標・SDGsにも掲げられているところでございます。本県としては引き続きSDGsも踏まえまして、しあわせ信州創造プラン2. 0において、誰ひとり取り残さない社会の実現を目指しております。こうした観点から引き続き、農業・農村の活性化、家族農業経営の安定化に向けた取り組みを進めてまいります。

 

 

【山口典久議員】

(4)沖縄の新基地建設

 昨年9月の沖縄知事選挙では、辺野古新基地建設反対、普天間基地の閉鎖・撤去を求めるオール沖縄の玉城デニー候補が圧勝しました。この結果は、「沖縄にこれ以上、新しい基地は要らない」という沖縄県民の民意をこの上なく明確な形で示したものでした。

 ところが安倍政権は昨年12月14日、辺野古の海を埋め立てる土砂投入を開始いたしました。こうした中、埋め立ての是非を問う県民投票が、2月14日に告示されています。辺野古への新基地建設は、安全保障や外交問題にとどまらず、地方自治を否定する重大な問題です。辺野古への新基地建設に対する知事の見解を伺います。

【知事】

 沖縄の新米軍基地建設に対する見解を問うというご質問でございます。

 米軍基地に関する問題は、防衛上の問題であり安全保障上の問題がありまして、これは国が責任を持って検討すべきものというふうに考えております。外交、安全保障と地方自治、双方に関係するわけでありますが、地方自治の観点からいえば、やはりその地域の住民の皆さま方が主体的に判断されるべきものというふうに思っております。こうしたことから、この新たな米軍基地の建設について、実情を十分存じ上げない私が公の場で発言することは差し控えたいというふうに思っております。

【山口典久議員】

(5)オスプレイ

 基地問題は、長野県にも関わっています。この間事故が多発している米軍輸送機オスプレイの訓練ルートや空域が長野県上空にも設定されていることなどから、知事は市長会・町村会と協力して、防衛大臣また環境大臣に、オスプレイの飛行訓練の情報開示や日米合同委員会合意事項の遵守などを求めておられました。しかし、一昨年3月には県庁上空を同機の飛行が目撃され、その後知事は、北関東防衛局を通じて在日米軍に遺憾の意を伝えられたということです。しかしそれ以来、同機の飛行は繰り返し目撃され、今年に入ってからも1月7日に上伊那地方で確認されています。

 とりわけ、横田基地に配備されたCV 22オスプレイの事故率の高さは看過できません。アメリカ空軍安全センターの発表によれば、10万飛行時間当たりの事故件数は、最も深刻なクラスAで4. 05です。沖縄に配備されているMV 22オスプレイは、墜落や機体の一部落下、不時着など事故トラブルを多発させていますが、クラスAの事故率は3.24です。ちなみに、横田基地に配備されているC 130輸送機は、事故率はクラスBで1.48ですから、CV 22オスプレイの事故率の異常な高さが伺えます。何よりも県民の安全を守るために、政府や米軍に対し今までの延長線上ではない踏み込んだ対応が必要と考えますが、知事の見解を伺います。

【知事】

 オスプレイの県内飛行への対応というご質問でございます。

 我が国の安全保障のあり方につきましては、国が責任をもって対応すべきものというふうに考えております。しかしながら、住民生活の安全・安心を確保することは私どもの使命でもあるわけでありまして、そうした観点から、県民の方々あるいは旅行者の方々の安全・安心について懸念がある場合には、毅然とした対応をしていくということも必要だというふうに思っております。

 県としてはオスプレイの目撃情報を収集しているところでありますが、昨年10月にオスプレイが横田基地に配備されて以降、オスプレイとは特定をできないものも含めて、県民の方々から12件、目撃情報が寄せられております。これらの情報につきましては、県から北関東防衛局に伝えさせていただいておりまして、昨年12月には国からアメリカ側に対しまして、住民に与える影響を最小限にとどめるよう要請をしていただいたところでございます。

 これまでも市長会・町村会と連携しながら国に要請を行ってきたところであります。また全国知事会といたしましても米軍機の訓練ルートや時期について、速やかな事前情報提供を行い、住民の不安を払拭するように、国に提言をしているところでございます。今後とも、県民の皆さまの安全・安心を確保できるように取り組んでおります。

〔2〕19年度県予算案について

【山口典久議員】

(1)中期財政試算

 2019年度予算案について伺います。

 知事の議案説明では、一般会計で防災減災事業の実施等による投資的経費が約371億円の増加、社会保障関係費が約26億円増加し、歳出総額は約396億円の増加です。

 歳入面では実質的な一般財源0. 4%の減、県債は防災減災対策事業を3カ年で集中的に実施するため、発行額、残高ともに一時的に増加するものの、2021年度には現在の水準を下回り、その後も着実に減少するなど、健全な水準を維持する見通しとしています。

 さらに中期財政試算では、21年度以降は県債残高は減少していくとともに、社会保障関係費の増加による財源不足が発生し、2018年度553億円の基金残高は、2023年度には125億円に減少することを見込んでいます。なお昨日、知事より提案された補正予算案で、今年度取り崩し額を50億円減額しています。

 こうした中で、行政財政改革実行本部を設置し、行財政改革の具体的な取り組みを行うとしています。

 そこでお伺いをいたします。今後長野県では、県財政に大きな影響を与える大型の事業が相次いで予定されています。例えば、老朽化が進んだインフラの補修、2027年にJR東海が開業を目指しているリニア中央新幹線の関連道路の整備、2027年国体へ向けた施設整備など、いずれも県財政にとって負担の大きい事業となることが予想されますが、この2月に発表した中期財政試算にどのように反映されているのでしょうか。

【山口典久議員】

(2)基金残高

 次に、基金残高について伺います。

 これまでの財政運営でも基金の取り崩しが当初の想定と大きくずれて変動することが少なからずありました。例えば2015年2月に発表された試算では、2017年度末の見込みを380億円としていましたけれども、決算では570億円でした。昨日提案された補正予算の基金の取り崩し額も同様ですけれども、こうした大きな変動は中期財政試算のあり方にかかわることだと考えます。これまでの経過の分析はどのように行われ、今回の中期財政試算に反映されたのでしょうか。以上、総務部長に伺います。

【総務部長】

 19年度の県予算につきまして、2点ご質問頂きました。

 まず中期財政試算における大型事業の反映状況についてのお尋ねであります。

 中期財政試算は、計画的に財政運営を行うために当初予算案をベースに、歳入歳出のそれぞれの項目について一定の仮定を置いて、今後5年間の財政状況について推計を行っているものであります。

 今回の試算では2023年度までの推計を行っておりまして、このうち施設整備につきましては、来年度・再来年度に建設のピークを迎える県立武道館や信濃美術館など、事業費が固まっているものについては試算に的確に反映をしております。また、国体に向けた施設改修など、現時点で全体の事業費が固まってないものにつきましては、一定の年度ごとの事業費を仮定し、試算を行っているところであります。

 2点目の中期財政試算における基金取り崩し額の想定と実際の取り崩し額との差異についてのお尋ねであります。

 先ほど申し上げましたとおり、中期財政試算は当初予算案をベースに一定の仮定の下で推計を行っております。実際の予算執行段階では、経済情勢の変化による税収の上振れや低金利継続による公債費の縮減等が実際に生じたほか、執行上さまざまな努力をしております。具体的には、歳入面では国庫補助金の活用や未利用県有地の売却、また歳出面では、契約差金等不執行の徹底、業務改善による経費の節減等を行っております。この結果、今後不測の事態が生じたとしても、何とか財政運営に支障を生じない程度の基金残高を現在確保しているところであります。

 中期財政試算の作成に当たりましては、より的確な推計となるよう改善を行うとともに、過去の実質収支を参考に、40億円程度の年度中の収支改善も盛り込んでいるところであります。以上であります。

〔3〕子ども・若者支援について

【山口典久議員】

(1)給食費無償化、高校通学費支援、給付型奨学金

 子ども・若者支援について伺います。

 2018年3月に、県民文化部が発表した「長野県子どもと子育て家庭の生活実態調査結果報告書」では、年収が手取り400万円未満の世帯が29. 5%に上りました。そして所得の水準とともに、公共料金が払えないなどの家計の逼迫具合、さらに子どもの体験や所有物などの要素からはかると24. 5%が生活困難家庭と判断されています。

 こうした中、「長野県は子ども・若者支援総合計画」に現在取り組んでおり、社会を担う子ども・若者のために今なすべきこととして、子どもの貧困対策が位置付けられています。そして、切れ目のない教育費負担の軽減を進めるとして、就学援助制度の改善、高等学校の授業料等軽減、高等教育機関奨学金の充実等が掲げられているところです。この切れ目のない教育費負担の軽減の充実のため、以下3点質問をいたします。

 まず最初に、学校給食費の負担軽減や無償化です。県教育委員会の調査では、平成29年度の児童・生徒1人当たりの年間の学校徴収金の支出は、小学校が8万2207円で、そのうち学校給食費が5万4320円と66%を占めています。中学校は学校徴収金は12万855円で、そのうち給食費が6万1503円と50.9%です。学校徴収金の半分以上が給食費であり、その負担の軽減や無償化が、貧困対策、子育て支援に大きな役割を発揮することは明らかです。学校の給食は、基本的に調理に要する人件費等は公費で負担し、食材にかかる費用は保護者が負担をすることとなっています。

 しかし、今それにとどまらず、子育て支援の一環として、あるいは給食は食育、人間生活の基本となる食事、食文化を支える教育の柱の一つとして、今こうした中で全児童・生徒を対象にして、軽減や無償化に踏み切る自治体も広がっています。今こそ、県としての支援策を全国に先駆けて講じていただきたいと考えますが、いかがでしょう。教育長に伺います。

【教育長】

 学校給食費についてでありますが、小中学校の学校給食の実施に当たりましては、法律に基づき市町村が人件費や施設などの経費を負担し、保護者は食材費、いわゆる学校給食費を負担することとなっておりますが、経済的に困難を抱える家庭については、生活保護による教育扶助や就学援助などの支援制度により市町村が支援しているところでございます。

 県内の町村の中には、それぞれの政策判断の下でさらなる保護者負担への支援を実施しているところもあるというふうには承知しておりますが、本来食材費である食費は、学校に通わずとも各家庭で負担していることが一般的であることから、県教育委員会としては、給食費の一律的な負担軽減、ないし無償化することは難しいというふうに考えております。

【山口典久議員】

 次に、高校通学費の支援です。例えば、長野市内でも1カ月の定期代が3万円~4万円近くになる地域もあり、こうした中、長野市は一部地域を対象にして独自の支援を行っています。信濃町は、しなの鉄道の通学定期代の20%を補助しています。県教育委員会には、遠距離通学費の一部を無利子で貸与する制度もあります。しかし、そこにとどまらない支援が今求められているのではないでしょうか。

 私は、2015年の9月定例会において通学費への支援を求めましたが、高等学校は義務教育ではないので、経済的に困難を抱える家庭以外への支援は考えていないという答弁でした。確かに義務教育ではありません。しかし今、高校進学率は2018年度99. 1%、ほぼ全ての生徒が進学しています。

 こうした中、就学支援金の給付制度により、多くの高校生の授業料の負担をなくしてきたではありませんか。県教育委員会が2016年に行った調査でも、高校が遠くて進路を変更した生徒が181人おりました。たとえ学校まで遠くてもしっかり通学を応援することは、過疎や人口減少に歯止めをかけることとなるのではないでしょうか。県は市町村とともに、通学費の支援策を講じていただきたいと考えますがいかがでしょうか。教育長に伺います。

【教育長】

 高校の通学費支援でありますけれども、経済的理由により修学が困難である者の通学費等の負担を軽減するために、遠距離通学費の貸与を無利子で行っておりますが、平成28年度に実態調査を行ったところ、制度を知らないという回答が9割を占めたことから、ポスターを作成して中学校・高校・市町村教育委員会等へ掲載を依頼したり、ラジオ・テレビスポットにより広報を行うなど周知に努めているところでございます。引き続き通学費の負担軽減に本制度が活用されるよう、取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

【山口典久議員】

 この間、長野県では大学生を対象とする給付型奨学金が導入され、その内容の拡大や充実が行われてまいりました。現在、入学金が30万円、在学中の費用に関するものとして文科系が年15万円、理科系が年25万円以内になっています。県が実施した「平成27年度長野県ひとり親家庭実態調査の子どもの声アンケート」でも、経済的な事情から、進学を断念せざるを得ない子どもたちの切ない声や訴えが多く寄せられました。

 先ほどの「長野県子どもと子育て家庭の生活実態調査結果報告書」でも、希望の進学先の質問に4年制大学と回答があったのは、一般家庭が68%であったのに対し、困窮家庭は39%と、一般家庭の6割以下にとどまり、困窮家庭では、経済的な理由から4年制大学への進学を諦めている生徒が多くいることが見てとれます。貧困の連鎖を断ち切るためにも、今後、全国に先駆けて実施した給付型奨学金をさらに充実・拡大することを求めますが、いかがでしょうか。県民文化部長に伺います。

【県民文化部長】

 大学生の給付型奨学金の拡大・充実についてのご質問でございます。

 ご指摘のとおり県では、県内大学への進学に際しての給付型の奨学金制度を全国に先駆けて創設したり、さらにこれを拡充し、在学中の学費等を支援するための奨学金制度も導入しております。

 また、平成27年度に創設した児童養護施設等の入所児童が大学等に支出する際の給付型奨学金につきましては、今年度新たに入学一時金を給付するなど、奨学金の拡充にきめ細かく取り組んできたところでございます。さらに、先ほどの進学のための奨学金につきましては、運用面において応募の機会を従来の1回から2回に増やすことで寄附者の拡大を図るなど、制度を充実していきたいというふうに考えております。以上でございます。

【山口典久議員】

(2)子どもの貧困対策本部

 長野県は昨年8月、子どもの医療費の現物給付、いわゆる窓口無料化が大きく前進いたしました。私ども日本共産党県議団は、この20年来実現を求めてきた者として知事の決断を歓迎いたします。同時に子どもや若者を巡りさまざまな課題がある中で、その全体像をつかみ、具体的な施策を立案していく部局横断的な子どもの貧困対策本部を庁内に設置することを求めますが、いかがでしょう。知事の見解を伺います。

【知事】

 部局横断的な子どもの貧困対策本部の設置についてのご質問でございます。

 子どもの貧困対策は、私も大変重要なテーマだというふうに思っておりますし、これまでも最重要政策というふうに位置付けて取り組んできております。給付型奨学金制度の全国に先駆けての創設であったり、あるいは子どもの医療費、先ほど言及いただきましたけれども現物給付化であったり、信州こどもカフェを広げたり、またこれは消費税を活用してでありますけれども、幼児教育の無償化であったり、こうしたことに取り組んでまいります。

 子どもの貧困対策は、私も大変重要なテーマだというふうに思っておりますし、これまでも最重要政策というふうに位置付けて取り組んできております。給付型奨学金制度の全国に先駆けての創設であったり、あるいは子どもの医療費、先ほど言及いただきましたけれども現物給付化であったり、信州こどもカフェを広げたり、またこれは消費税を活用してでありますけれども、幼児教育の無償化であったり、こうしたことに取り組んでまいります。

〔4〕児童虐待について

【山口典久議員】

(1)児童相談所の体制強化、専門性の向上

 児童虐待への対応について伺います。長野県における児童相談所の相談対応件数は平成25年度1358件でしたが、平成29年度には2048件と5年間で1. 5倍化しています。その理由としては、県は児童虐待に関する認識が高まることで、関係機関や県民が虐待を受けたと思われる児童を発見した場合、速やかに児童相談所へ通告するという意識が高くなっていること、家庭の養育力の低下や家庭の経済状況等により子育てが孤立化し、その負担感などが虐待という形で発生しやすくなっていることを挙げていますが、いずれにしても長野県でも深刻な事態です。

 こうした中、昨年3月、東京目黒区で5歳の女児が父親の虐待で亡くなった事件に続き、今年1月、千葉県野田市で小学校4年の女児が自宅で亡くなり、両親が傷害容疑で逮捕されました。あまりにも痛ましい事件が相次ぎ、まさに多くの国民が胸を痛めています。繰り返し起こる子どもの虐待死をどうすれば防ぐことができるのか、今この間の事件の教訓に学びながら、行政の対応を検討することが求められています。今回千葉県の事件は、児童相談所が一旦家族から離して一時保護しながら1カ月半後に解除しています。また、一時保護に抗議する父親に、市教育委員会が女児の書いたアンケートを渡す、また学校を転校後、長期欠席の連絡が父親からあっても、学校が特段の対応を取らなかったことなどが問題点として挙げられています。こうした事例を鑑みて、長野県においても、一時保護・解除のあり方の検証と見直し、関係機関による情報共有、連携の改善、これを図ることが必要ではないでしょうか。

 そして児童相談所の人員体制についてですが、私が児童相談所職員の皆さんから実態をお聞きしたときも、激増する相談に体制が追いつかず、丁寧に対応したいと思っても手が回らない、こうした現場の声も複数お聞きしてまいりました。現在進めている児童相談所の職員増員の前倒しなど、抜本的な人員体制の拡充、そして一時保護施設の十分な確保が必要ではないでしょうか。

 職員の専門性の向上を図ることも求められています。児童虐待防止協会理事長の津崎哲郎さんは、今回の事件の最大の問題は、児童相談所・学校・教育委員会が子どもが出したSOSに気付いていたのに、応えることができずに救済のチャンスを逃したということを指摘しています。そして津崎さんは、「児相の職員が足りないという問題もありますが、より大きな問題は、経験と知識を積み上げ、子どもを守る自覚が高く、虐待が生じる構図を見立てる力を持った職員が育っていないことだ」としています。

 職員の専門性の向上を図ることも求められています。児童虐待防止協会理事長の津崎哲郎さんは、今回の事件の最大の問題は、児童相談所・学校・教育委員会が子どもが出したSOSに気付いていたのに、応えることができずに救済のチャンスを逃したということを指摘しています。そして津崎さんは、「児相の職員が足りないという問題もありますが、より大きな問題は、経験と知識を積み上げ、子どもを守る自覚が高く、虐待が生じる構図を見立てる力を持った職員が育っていないことだ」としています。

【県民文化部長】

 一時保護および解除の措置につきましては、本県では初期対応マニュアルの基準に沿って判断しておりますけれども、例えば一時保護の場合には、子どもに重大な外傷があるか、あるいは子どもが保護を求めているかなどの基準。そして解除の場合には、子どもが家庭復帰を望んでいるか、あるいは保護者が不適切な養育を認め改善に向けた行動が可能かなどの基準に沿って判断することとしておりまして、統一的なアセスメントシートに沿って、児童相談所の援助方針会議でリスクを十分に踏まえて検討し、保護あるいは解除を決定しております。

 このアセスメントシートにつきましては、ネグレクトの急増など最近の虐待対応の多様化に合わせまして、偏りなく評価できるよう見直しを行い、今年度から運用を開始しております。今後も実態を踏まえた改善をしてまいります。

 次に、虐待に関する情報共有・連携の改善についてのご質問でございます。

 千葉県野田市の事件は、報道を見る限り虐待事案について一時的・中核的対応に当たるべき市町村の要保護児童対策地域協議会を構成します学校と児童相談所の間の情報共有・連携が図られず、危機意識が欠如していたとの指摘がございます。

 今後行われるであろう野田市の事件の検証結果を本県に当てはめて、しっかりと現状分析するのは当然のことでございますけれども、それに先立って、県といたしまして要保護児童対策地域協議会の設置主体である市町村に対し、関係機関との連携体制の確認を促すとともに、ケース検討会議の徹底を要請してまいります。

 次に、児童相談所の人員体制の拡充等についてでございます。

 平成28年度以降、児童福祉士10名の増員、警察官や非常勤の弁護士など専門職員の配置等により児童相談所の体制を充実してまいりましたが、さらに今後も業務の質と量に見合った体制の強化を図ってまいります。

 一時保護につきましては、中央と松本の2つの児童相談所に一時保護所を設置しておりまして、平成28年度には、松本児童相談所で個別対応できる居室の整備等の環境改善を行っております。

 一方、現在県内にある21の乳児院や児童養護施設等に対し、県からの委託による一時保護体制をとっております。さらに本年4月には、長野市内の児童養護施設に一時保護専用の施設が整備され、運用を開始するほか、今後、他の児童養護施設でも同様の機能を有する施設を新たに整備する計画がございます。

県全体で一時保護機能の一層の拡充が図られるよう、県として施設の運営費への支援をしてまいります。

 専門性の向上につきましては、県では児童福祉士等を対象として県内外の専門家を講師に、経験年数などの段階に応じた研修を実施し、専門性の向上に努めています。

 また、市町村要保護児童対策地域協議会の関係者に対しても、研修等を通じて高い危機意識とリスク判断の重要性への認識を深めてもらうとともに、虐待事案に適切に対応できる人材を養成できるよう支援してまいります。

【山口典久議員】

(2)信州子どもサポート

 地域で子どもを気に掛けることも虐待の予防・早期発見・早期支援に重要です。県は、子ども家庭包括支援システムとしての子ども家庭支援ネットワークを構築し、関係機関が連携し早期に切れ目なく親子丸ごと支援できる仕組みをつくるとしておりますけれども、現在でも関係機関の人員や体制の不足、職員の多忙が指摘される中、児童虐待の発生予防・早期発見・早期支援のためにどのように機能させていくのでしょうか。県民文化部長に伺います。

【県民文化部長】

 子ども家庭支援ネットワークに関するご質問でございます。

 これも報道を通して知る限りでございますけれども、野田市の事件から得られる教訓としては、長野県内の子ども相談支援体制を充実するために、支援に関わる関係機関が危機意識を持って情報を共有し、状況の変化に応じて専門的なアプローチに責任を持って伝えていく体制をつくることが重要ということでございます。

 そのためには、一時的な関わりを持つ市町村とともに、専門的支援を行う県の機関が、ケースに応じてどの機関がどのような対応をするのか、全体をコーディネートする責任者を市町村と県に置くとともに、組織の壁を越えて連携の強化を図らねばならないというふうに考えております。

 具体的には県の取り組みとして、先ほど申し上げました児童相談所の強化に加え、市町村支援に責任を持つ児童福祉士の配置を進めるとともに、児童相談所の一部業務を補完する児童家庭支援センターの機能を持つ児童養護施設を増やす取り組みを行ってまいります。

 また、市町村の体制強化のため、2022年までに全市町村で子ども支援の責任体制が確立された子ども家庭総合支援拠点が設置されるよう、先行自治体の体制や支援の工夫を紹介する研修会を開催するとともに、これまで教育事務所に配置してきたスクールソーシャルワーカーの市への配置を県として行います。

 これらの取り組みを通じて、個々人の課題に応じて迅速で漏れのない一貫したフォローが実現する関係機関のネットワークを再構築してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

〔5〕国民健康保険

【山口典久議員】

 国民健康保険について伺います。国民健康保険の制度改定により、都道府県単位化がスタートして、この4月から2年目を迎えます。2月1日に、平成30年度第2回長野県国民健康保険運営協議会が開催され、平成31年国保事業の納付金等の算定結果が示されました。

 市町村は、県から提示された納付金をもとに住民の保険料を決定しますが、今回の算定結果によると、納付額は総額574億円で、今年度比4. 1%増です。県平均1人当たりの納付金額は、12万7184円で9. 4%増です。

 納付金額が増加した理由は、保険給付金等の見込みはほぼ横ばいだったものの、前期高齢者交付金の見込みの大幅減少、後期高齢者支援金と介護納付金の増加が挙げられています。急激な保険料の上昇を抑えるために公費を当てる激変緩和措置の適用は、昨年度47市町村から50市町村になっています。

 長野県の国民健康保険運営方針はこれまで同じ所得、同じ世帯員数でも住む市町村が異なれば保険料額はバラバラだったが、将来的には県内どこの市町村でも同じ所得、同じ世帯構成の世帯は同じ保険料となることを目指すとしています。ただし、これはすぐに統一せず、保険料負担の急な増加を抑えながら統一を目指すとしているわけですが、今後、医療費総額の大幅な伸び、被保険者数の大幅な減少、さらに原則6年間としている激変緩和措置の解消などを考えると、1人当たりの保険料の大幅な負担増がもたらされることが懸念されます。

【山口典久議員】

(1)低所得者対策

 昨年11月定例会でこの保険料負担の問題点を指摘したところ、答弁では、低所得者への配慮しながら安定的な財政運営ができるように努めるとの答弁でありましたが、具体的にどのような対策をとるのでしょうか。

【健康福祉部長】

 国民健康保険につきまして、4点ご質問頂いております。まず、低所得者に対する考慮の具体的な対策についてでございます。

 国民健康保険制度は、県民の皆さまの暮らしと国民皆保険を支える社会保障の基盤であることから、保険料の負担について低所得者への配慮を行うことは大変重要と考えております。

 県としましては、市町村から納付していただく平成31年度の納付金算定において、昨年度より3市町村多い50市町村に対して4億2000万円多い約22億8000万円の激変緩和措置を講じて、低所得者の保険料負担が著しく増加しないように配慮したところでございます。併せて低所得者については、国保料の均等割および平等割に対して、平成29年度では約57億円、国保全世代の約55%の軽減措置を講じておりますが、平成31年度予算においては、約58億円を計上しております。また市町村に対しても、実際の保険料率の設定において剰余金や基金の活用により極端な保険料負担の増加とならないよう、十分配慮することを本年1月に要請したところです。

【山口典久議員】

(2)法定外繰り入れ

 次に、法定外一般会計繰入について伺います。長野県は国民健康保険運営方針の中で、将来的な保険料水準の統一に向けた方針として、法定外一般会計繰入は市町村ごと定める目標年次に向かって、段階的・計画的な解消削減を図ることとしています。この法定外一般会計繰入は、平成27年度決算に見ると35保険者が実施し、その総額は30億894万円でした。しかしこの額は、県内市町村国保全体の収入額の1%強ですから決して大きなものではありません。そもそも一般会計法定外繰入は、高齢者の加入割合が高い、加入者の所得水準が低い、市町村ごとの医療費保険料の格差が大きい等の構造的問題、いわゆる国民健康保険の制度的な矛盾を市町村が、その独自の判断と努力で補ってきたもので、それぞれの地域の実情や条件に見合って、住民の暮らしと健康を守るために築いてきた市町村と住民の努力の成果です。

 この法定外一般会計繰入は市町村の判断で存続できること、併せて原村の67歳以上を対象にした医療費特別給付制度、信濃町の世帯主9割給付等の独自の給付制度についても市町村の判断で存続できることを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

【健康福祉部長】

 一般会計法定外繰入および市町村独自の給付についてでございます。

 一般会計からの法定外繰入につきましては、国民健康保険の健全な財政運営として、基本的には国や県からの公費と保険料により納付金等賄っていくべきものと考えております。このため、昨年度市町村と協議し策定した長野県国民健康保険運営方針において、保険料負担緩和等の決算補填を目的とした法定外繰入は、段階的・計画的に解消・削減していくこととしております。

 市町村独自の任意給付につきましては、現時点において各市町村が財政状況や保険料負担を勘案し、引き続き市町村の判断において行うことが可能となっております。

 また市町村の独自の任意給付についてのお尋ねでございますが、将来的に保険料水準の統一に向けて検討課題ではありますが、現時点、市町村長が条例で定めることにより実施可能であります。

 次に均等割・平等割廃止の国への要望についてでございます。国がまとめた平成27年度の市町村国保と協会けんぽの平均所得に対する平均保険料の負担率の比較では、市町村国保は10. 0%、協会けんぽは7.6%となっており、市町村国保の保険料負担は重いものと認識をしております。

 国民健康保険は保険料の軽減措置も講じながら、被保険者の方々が所得等に応じて負担し合う中で成り立っているものであり、直ちに均等割および平等割を廃止することは難しいと考えておりますが、子育て世帯や低所得者に対する十分な配慮を行っていくことは重要と考えております。

 県としましては、国保制度が低所得者に十分配慮した持続可能な制度となるよう、制度設計について責任を持つ国において必要な見直しを行うよう、引き続き、県として、また全国知事会等を通して国に要望してまいります。

【山口典久議員】

(3)平等割、均等割の廃止

 国民健康保険の保険料の負担が、協会けんぽや組合健保に比較して著しく大きいことも改善が求められています。2018年度の保険料に基づいて試算を行うと、長野市の年収400万円4人家族の場合、年間保険料は37万2550円で負担率は9. 3%、協会けんぽの場合は、同じく年収400万円で19万4200円、負担率は4. 8%です。国民健康保険の場合、2倍近い負担率となっています。

 どこの市町村でも、同じ所得、同じ世帯構成の世帯は同じ保険料となることを目指すという国民健康保険の運営方針ですが、公平性をいうのなら、協会けんぽと同程度の保険料負担率を目指すことこそ求められています。

 ちろん、そのためには財源や保険料の算定方式の見直しが必要となります。財源については、本議会でもたびたび求めてまいりましたが、全国知事会が要望している国費の1兆円投入を、これを必ず実現すること、そしてその財源をもとに国民健康保険特有の算定方式である均等割・平等割の見直しを行えば、協会けんぽと同程度の保険料も可能となります。均等割・平等割はその呼び名とは違い、世帯や家族の人数に応じて一律に負担を求めるもので、能力に応じて負担するという税負担の基本的な原則に反するものです。子どもが増えればその分保険料負担が増えていくわけですから、子育て支援に逆行するものです。

 ちなみに、均等割・平等割の部分を除くと、長野市の年収400万円、家族4人の世帯の保険料は24万9310円となり、12万円以上負担が減ります。協会けんぽに比べればまだ高い保険料ですが、だいぶ改善されることになります。11月県議会では、この均等割・平等割という算定方式の廃止・見直しは直ちに難しいとの答弁がありましたが、これは避けて通れない問題です。見直しや廃止を国に強く働き掛けてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

【山口典久議員】

(4)市町村の均等割廃止の支援

 さらに全国でも県内の市町村でも、子育て支援の施策として、例えば第3子の均等割を算定基準から除外するなど算定方式の見直しの動きが広がっています。県はこうした市町村の努力や工夫に寄り添って、県としての支援を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。

【健康福祉部長】

 市町村の均等割・平等割の算定方式の見直しについてでございますが、具体的なお話が市町村から相談がありました場合には、県として支援ができるかどうか個別に検討させていただきたいと考えております。

 保険料の算定方式の見直しについては、県としましても、子育て支援や低所得者の負担緩和の観点から保険料の軽減措置の拡充を講じるよう、今までも国に対して要望しておりますが、国保保険料の均等割は逆進性が高く、子どもの多い家庭ほど負担が大きい現状に対しては私どもとしても問題意識を持っております。全国知事会を通じて、子どもにかかる均等割保険料軽減措置の導入を講じるように、引き続きさまざまな機会を捉えて国に対して要望してまいります。以上でございます。

〔6〕人手不足

【山口典久議員】

 続いて、県内産業における人手不足について質問します。信濃毎日新聞が昨年末、県内主要企業を対象に行った経済アンケートでは、現在の雇用人員規模について「不足感が強まった」「不足感が変わらない」の合計は前回と同じ56%で、人手不足感の強い状況が続いています。そして不足感を示した企業のうち、事業に影響が出ているという回答が85%となっています。この間、人手不足のために工事を受注できないなどの県内の業者のお話も伺ってまいりました。

 こうした中2019年度予算案では、人手不足解消に向けた多様な人材の確保としてインターンシップの機会充実など、ターゲット別の人材確保の強化、介護や保育など専門人材の確保策、ならびに外国人材の受け入れ、就業の促進が掲げられています。信州仕事働き方改革も新規事業として提案がされています。こうした取り組みとともに、この人手不足の実態をどう考えるのか、どのような対策が必要かを明確にしていく必要があるのではないでしょうか。

 昨年来、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改定案に関して、さまざまな議論が行われてまいりました。この中で、政府が人手不足として外国人受入れを検討している業種は、重層下請けによる構造的な低賃金や労働条件の劣悪さが指摘された分野が多く、例えば経済産業省が昨年行った縫製業の実態調査でも、最低賃金が引き上げられたがそれに見合う工賃の引き上げは行われなかったという回答が、全体の78. 8%を占めている実態にも表れています。

【山口典久議員】

(1)現状、実態について

 深刻な人手不足の要因に、低賃金や劣悪な労働条件があることは明らかだと思います。それをそのままにして、外国人労働者の受け入れで補おうとすれば、我が国の構造的な低賃金・低単価を固定化し、人手不足の現場の困難を逆にひどくすることになりかねません。末端や下請けにしわ寄せがいく構造そのものを、よく見極めて是正することが必要になっています。県内の人手不足の現状、実態と要因についてどのように把握しているのでしょうか。

【産業労働部長】

 県内の人手不足の現状と、その要因についてのご質問を頂きました。

 県内の有効求人倍率は、平成29年7月以降18カ月連続で1. 6倍以上と高水準で推移しており、建設や宿泊・飲食サービスの分野などでの人手不足感が顕著となっております。

 その要因ですが、全国的には少子高齢化の進行により労働力人口が減少していること、緩やかな経済回復が続く中で企業の求人意欲が堅調なこと、求人側と求職側のニーズが一致しないことなどが主な要因となっておりますが、本県に特徴なものとしては、高校生などの県外進学率が約8割と高い反面、Uターン就職率は4割弱にとどまること、子育て中の女性の就業率が高くないことなどが挙げられております。

【山口典久議員】

(2)実態調査

 さらに、従業員が数人の小さな事業所も含め、自ら足を運んで実態を調査するいわゆる悉皆調査をかけて、待遇や労働環境のみならず、福祉やまちづくりなど自治体の幅広い施策に反映させることが必要と考えますが、いかがでしょうか。産業労働部長の見解を伺います。

【産業労働部長】

 人手不足の実態把握と、施策への反映についてでございます。

 人手不足の実態は、長野県就業促進働き方改革戦略会議に参画をいただいております経済団体や労働団体から状況をお聞きしているほか、産業分野別会議や地域会議によるアンケート調査、県の景気動向調査や民間の調査のほか、企業を訪問しての聞き取り調査など中小企業から大企業まで幅広く捉えていることから、現時点での悉皆調査は考えておりません。

 こうした実態については、産業分野に共通する施策のほか、福祉・介護・観光・建設等の産業分野での人手不足対策などの商工施策だけでなく、幅広い分野において来年度実施する施策へ反映させることとしております。

 引き続き実態や課題の把握に努め、戦略会議などで実効性ある取り組みについて議論を重ねるとともに、関係機関とも連携をして効果的な人手不足対策を講じてまいります。以上でございます。

〔7〕教員の長時間労働

【山口典久議員】

 次に、教員の長時間労働について質問します。

 この間、長野県教育委員会は教員の働き方を改善し、子どもたちにとって最も大切である授業の質を高め充実させるためとして、学校における働き方改革推進のための基本方針を策定。さらに2017年11月20日、長野県教育委員会、長野県市町村教育委員会連絡協議会、長野県PTA連合会は、公立小中学校における働き方改革のための共同メッセージを発表。学校における働き方改革は喫緊の課題と認識し、3者で連携し、保護者や県民の皆さまのご理解を得ながら取り組みを進めてまいりますと述べています。

 教員の長時間労働について、長野県教職員組合が昨年行った調査では、学校行事や運動部の大会等で最も忙しい6月の1人当たりの時間外労働は、いわゆる過労死ラインの80時間を超えていました。これは前年同期より2時間52分短いものの、依然として深刻な実態です。とりわけ、部活動の指導がある中学校では95時間を超えています。こうした中で、健康状態にかかわる調査では、通院できず、売薬で済ませていると答えた人が2割を超え、体調不良など疲労が蓄積しても解消できない状況が訴えられています。

 教員の長時間労働は子どもと触れ合ったり、保護者と意思疎通を図るためのゆとりや時間も十分に取れないなど、子どもや保護者にとっても深刻な問題です。この間、県教育委員会は、スポーツ活動指針や部活動指導員、スクールサポートスタッフの配置などにより時間外労働の短縮に一定の効果を上げていますが、さらに改善を進めるために、以下教育長に質問します。

【山口典久議員】

(1)授業時間の削減と教員定数増

 最初に、受け持つ授業時間の問題です。この間、英語科の教科化等により授業時間が増加したことが時間外労働の増加の要因になっています。そして、授業時間を減らし時間外労働を短縮するためには、教員定数を増やすことが欠かせません。長野県は、臨時的任用教員・任期付職員が10%と全国平均の7. 2%を上回っているとのことですが、臨時的任用教員・任期付職員等の経験者について、正規採用を進めることも含めて職員定数の増加を求めますが、いかがでしょうか。さらに国に教員定数を増やすことを積極的に働き掛けていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

【教育長】

 まず教員定数の増加についてのお尋ねでございます。

 2020年度からの英語の教科化の完全実施に向けまして、県としては本年度、20人の英語専科加配を行い、来年度はさらにその増員を考えているところでございます。

 さらなる教員定数の拡充については国の定数改善が必要と考えておりますので、これまでも知事要望等を通じ国に働き掛けてきたところでありますが、今後もさまざまな機会を通じ国に対して働き掛けてまいりたいというふうに思っております。

 なお経験豊かな臨時的任用職員および任期付職員の正規採用を進めるために、教職経験者を対象とした選考を実施し、個人面接における模擬授業の導入等、教職員としての経験を生かせるよう配慮しているところでもございます。

【山口典久議員】

(2)研究授業の見直し

 次に研究授業のあり方です。先ほど紹介した教職員組合のアンケート調査において、教職員にゆとりを生み出すために、特に精選・縮小したい事例として多く挙がっているのが教育課程研究協議会指定校研究です。小学校では1位、中学校では部活動・課外活動に次ぎ2位、障害児学校では校内研究に次ぎ2位でした。この教育課程研究協議会指定校研究は、この間一定の見直しや改善も行われているところですが、規模を縮小し子どもと向き合える時間を増やしてほしいなど、見直し・改善を求める声が依然として上がっています。この教育課程研究協議会指定校研究のあり方の一層の見直し、改善が必要ではないでしょうか。

【教育長】

 教育課程研究協議会指定校研究の改善についてというお尋ねであります。

 教育課程研究協議会指定校研究の意義・目的でありますけれども、授業をする教員にとっては授業力を高める機会であり、また授業公開をする学校にとっては周りの教員も含めた指導力向上の機会となるとともに、互いに議論することで同僚性を育む機会となり、働きやすい職場環境にも資するものと考えておりますし、さらに授業研究の成果は参加教員に共有され、そのことで自身の授業づくりを効果的・効率的に行う見直しのきっかけとなり、結果的に働き方改革につながるものというものでもございます。

 一方で、公開授業に向けた過度に細かい指導案のつくり込みや、協議会を開催することで生じる案内等の作成に伴う準備作業などの課題も認められたために、指導案の焦点化、案内等の簡素化等の見直しを図ってきたところでございます。本来の意義・目的が達成できるよう、引き続き必要な見直しについて進めてまいりたいというふうに考えております。

【山口典久議員】

(3)変形労働時間制

 1月、中央教育審議会が公立学校教職員の働き方改革について答申を出しました。この答申は1年単位の変形労働時間制の導入も打ち出しています。特別な扱いとして月100時間未満も可能としていますが、学期中の勤務時間を増やす一方、その分、夏休み等で休みを取るというものです。これは現状の超過勤務を追認し、恒常化させるものです。学期中の残業に拍車がかかり、子育てや介護との両立も困難になります。この変形労働時間制は、この間の時間外労働を改善していくための教育委員会をはじめとした現場の努力に逆行するものです。まさに長時間労働を隠し、助長することになりかねないと考えますが、いかがでしょうか。以上、教育長の見解を伺います。

【教育長】

 1年単位の変形労働制の導入についての見解というお尋ねでありますが、中央教育審議会は、教師の勤務実態として授業を行う期間と長期休業期間とで業務に繁閑の差が実際に存在しており、教師の長時間勤務を見直すに当たっては、年間を通じた業務のあり方を検討することが有効だという立場から、1年単位の変形労働時間制の導入を答申したところであります。

 また本答申では、同制度の導入に当たって、教師の勤務のあり方を踏まえた勤務時間制度の改革についてさまざまな検討を要するというふうにしていることも承知しております。この答申を受けて文部科学省では、今後、教師に関する労働環境について法的な枠組みも含め、さまざまな検討を中長期的に行うとしておりますので、県としても国の動向を注視してまいりたいというふうに考えております。

〔8〕高校改革

【山口典久議員】

(1)少人数学級

 高校改革について伺います。

 この間、上伊那地域の高校将来像を検討する地域懇談会が開催されてきましたが、この中では少人数学級を望む声が多く出されたとお聞きしています。来年度、県教委は新しい時代に向けた高校教育への転換として、大学等と連携する探究的な学びや、上級学校まで一貫する実践的な産業教育など、先進的な取り組みを実践する未来の学校を指定する取り組みを進めるとしています。この未来の学校の指定で少人数学級を研究する高校は1校だけだということですが、これで十分な研究ができるのか懸念されます。

 長野県は小学校・中学校における30人規模学級編制を、全国に先駆けて実現しました。教師が一人ひとりの子どもと触れ合う時間が増えたことにより、教科指導・生徒指導でも効果を上げてきたこと。そして保護者や地域からも圧倒的な支持を受けていると、県教育委員会の信州教育スタンダードにも明記されてきました。

 一方、「学びの改革」基本構想では、高校の教員数はいわゆる標準法によって示されており、これに基づいて県全体の教員数を算定し配置しているとして、標準法による教員配置は今後の「学びの改革」を進める上での前提であり、国の定めた基準の中で、限られた人的資源を最大限有効に活用する視点で常に考える必要があるとしています。教員数との関係で少人数学級は難しいとも取れる見解ですが、しかし今、小中学校において明らかになった。その教育的効果からも、高校における少人数学級の研究の充実・前進が求められています。そのためにも、研究校の拡大を求めますが、いかがでしょうか。

【教育長】

 高校改革に関連してですが、未来の学校の研究校の指定についてであります。

 県立高校未来の学校構築事業は、先進的・先端的な研究実践におおむね5年程度取り組む未来の学校実践校を指定し、長野県高校教育を牽引する新たな学びの場・学びの仕組みを構築するものであります。

 まずは実践校の指定に先立ち、6種類のテーマごとに有識者であるアドバイザーと共同して、1年間かけて研究開発計画を作成するために研究校を1校ずつ指定することとしております。議員ご指摘の少人数学級のテーマにつきましても、他のテーマと同様に、研究校が1年間かけて研究開発計画を作成することとしているものであります。

【山口典久議員】

(2)新たな学びの推進

 昨年9月に決定された「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」では、新たな学びの推進が掲げられています。しかし、この方針のイメージがつかめないという声が寄せられています。例えば総合学科は、自分の進路に悩んでいたり自分に合ったことを見つけたいという生徒向けに幅広く科目を選択できるということですが、具体的にどのような選択肢がどこまで用意されているのか明確ではありません。総合技術高校は、変化に柔軟に対応できる専門能力を身につけるため、専門分野の枠を超えた学科を学ぶことができるとしています。さらに、専門高校の小さな学科のあり方について、例えば機械科・電気科等を広範な専門領域を有する学科への改編を検討することも例として挙げられていますが、漠然としています。

 こうした総合学科や総合技術高校などの多様な学びの場の学びの仕組みを、メリットやデメリットをはじめ課題を整理して具体的に明らかにすることなど、今後各地に設置される地域協議会や懇談会において丁寧な対応を求めますが、いかがでしょうか。

【教育長】

 総合学科・総合技術高校について、十分な情報提供というお尋ねでございます。

 上伊那地域の高校の将来像を考える協議会では、地域にない総合学科高校や総合技術高校についてさまざまな意見交換がなされたところであります。

 それぞれの種類の高校に対する理解を深めるために、総合学科高校であります丸子修学館高校、総合技術高校である飯田OIDE長姫高校の視察を行ったところであります。他地区の協議会におきましても、モデルとなる高校の視察等によりその地区の高校の将来像について丁寧に検討を進めていくことが重要であるというふうに思っております。

 また、総合学科高校・総合技術高校の広報周知活動等のさらなる充実を図るともに、県教育委員会も協議会の共同事務局として必要な資料や情報提供に努めていきたいというふうに考えております。

【山口典久議員】

(3)入学者選抜制度

 入学者選抜制度の改革について伺います。

 入学試験は2004年度から、それまでの12通学区制を4通学区制とし、同時に前期選抜を導入しました。7年後の2011年からは、前期選抜の実施は各校の判断に委ねられることになり、2017年度は14校17学科が実施していないということです。

 「学びの改革」基本構想では、前期選抜は多様な個性が評価でき、意欲的な生徒が入学している一方、学力検査が課されないために学力伸長や基礎学力の定着を妨げているなどの意見があるとして、今後は入学者選抜制度のあり方について検討を行っていくとしました。

 この基本構想を受けて入学者選抜制度等検討委員会が設置され、2018年3月に県教育委員会に報告書が提出されました。この報告書では、一般選抜と特色化選抜、いずれも仮称ですが、2つの形式が掲げられ一般選抜は学力検査、ペーパーテストを全受験者に課し、さらに面接や作文・エントリーシートの活用等の検査を行う。特色化選抜は学力検査と個人面接やプレゼンテーション・実技など、学校独自の特色ある検査を行うことなどが記されています。県教育委員会ではその内容を検討し、新たな入学者選抜制度を構築するということですが、いずれにしても入学者選抜制度の大きな見直しは中学生や保護者、教員など当事者の混乱を招くことが予想されます。十分な検討、丁寧に理解や納得を得る努力が必要と考えますが、いかがでしょうか。以上、教育長に伺います。

 

【教育長】

 新たな入学者選抜制度についてのお尋ねでございます。

 高校生に求められる資質・能力が大きく変化している中、これからの時代にふさわしい入学者選抜制度となるよう、長野県高等学校入学者選抜制度等検討委員会の報告書の趣旨を踏まえて、現在、制度の検討を進めているところであります。新たな制度案につきましては、スケジュールを含め今年度中には公表していく予定としておりますが、導入に当たりましては、パブリックコメントの実施、適切な周知期間を設ける等、丁寧な対応してまいりたいというふうに考えております。

〔9〕太陽光発電事業

【山口典久議員】

(1)県条例について

 再生可能エネルギーについて質問いたします。再生可能エネルギーの導入・普及は温暖化抑制のための喫緊の課題であり一層の推進が求められています。しかし、ルールや規制が未整備のまま利益追求を優先した乱開発が起き、環境保全や住民の健康・安全に関わる問題を引き起こしています。

 長野県はこうした中で、平成27年に長野県環境影響評価条例を改正し、一定規模以上の太陽光発電所の設置を全国で初めて対象事業に加えています。また、長野県景観規則の改正、長野県林地開発事務取扱要綱等を改正し、地元住民への説明や協定などを位置付けてきました。市町村における対応も重視して、太陽光発電を適正に推進するための市町村対応マニュアルも作成してきたところです。

 しかし、こうした中でも地元住民や地元自治体から見直しや撤回を求める施設が計画されたり、実際に建設中のものも相次いでいるのが現実です。

 私も現地を視察しましたが、諏訪市の霧ヶ峰高原に建設が予定されているメガソーラーは、標高1250 mから1500 mの森林に開発面積約200ヘクタールの半分ほどにソーラーパネルを設置するものです。この開発は山林の保水力を奪うとともに、土砂災害や河川の氾濫、上川や諏訪湖での漁への悪影響も憂慮されます。

 下流域の茅野市米沢北大塩区民の約93%は計画に反対しています。地元の皆さんは、こうして複数の自治体への影響が懸念される中で、関係する漁協や水利権者などの承認なしに建設できないよう県条例の制定を強く要望しています。

 先日、和歌山県を訪ねました。昨年制定された和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例の調査をしてきました。和歌山県では、規模や設置場所によって環境影響評価条例や森林法等の適用を受けない事例などにより住民との間にトラブルが相次いでいる中で、県としての条例制定に踏み切ったということです。

 この条例では50 kW以上の設備を設置して発電する場合、屋根の上、屋上等への設置を除き、知事の認定が必要になるものです。県や市町村との協議、関係自治体への説明、その上で事業計画を公表し、県に認定申請を行うなどの手続きを定めています。また自治会等の意見提出、関係市町村からの意見聴取、事業所側の見解書などの流れを受けて、最終的に知事が認定・不認定を決定するものです。

 事業の情報公開はもちろんのこと、自治体や地域住民など広い利害関係者に説明し、そして承認・認定を得る厳密なルールや条例が長野県でも求められていると考えますが、いかがでしょうか。加えて、きちんとした国の法的な位置付けが必要で、そのことも求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【環境部長】

 太陽光発電の新しいルール等についてでございます。

 再生可能エネルギーの普及に当たりましては、環境面や防災上の懸念が生じないよう地元との合意形成の下で事業を進めることが重要と認識しているところでございます。県では太陽光発電が地域と調和したものになるよう、これまで地域の意見を聞き、環境に配慮した事業にするための環境影響評価の手続き、地域への説明方法を明確にした林地開発許可手続きについて条例等の改正により対応を強化してまいりました。

 さらに現在は、対策の一つとして景観届け出制度に新たなルールの追加を検討しているところでございます。また市町村に対しましては、太陽光発電を適正に推進するための市町村対応マニュアルを公表し、条例のモデルを示して、事業計画の公表、住民説明、地域と調和した事業として市町村長が認定する手続きを明らかにするなど、地域の実情を踏まえた対応を支援しているところでございます。

 加えて、来年度からは、地域主導の事業化を支援する補助金の対象を拡充し、環境に支障を及ぼす再生可能エネルギー事業への対応を検討する市町村を支援することとしております。県といたしましては、こうした取り組みにより太陽光発電の適正な推進を促すとともに、関係部局と情報を共有し、さらなる課題解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 また国に対しましては、これまでも知事会や道府県を構成員とする自然エネルギー協議会を通じまして、太陽光をはじめとする再生可能エネルギー発電設備の認定手続きを、地域の懸念に応えるプロセスにするように要望をし、制度として一部実現を見たところであり、今後とも必要に応じ国に要望してまいります。

【山口典久議員】

(2)地産地消エネルギー

 続いて、長野県における再生可能エネルギーの普及について伺います。

 再生可能エネルギーは、まさに地域に固有のエネルギー源で、この活用を地元の仕事や雇用に結びつくように追求し、それを販売することで地域に新たな収入や活力も生まれます。

 長野市の鬼無里地区の活性化に取り組むNPO法人まめってぇ鬼無里は薪ステーションを立ち上げ、現在、道路にはみ出して邪魔となるいわゆる支障木や間伐材を利用して、年間250立方メートルの薪を生産しています。

 この薪はキャンプ場やパンづくり工房などに販売されています。そして長野市の温泉施設、鬼無里の湯にも販売が始まりました。この鬼無里の湯の湯は年間7万リットルの灯油を炊いていたそうですが、4万リットル分を薪で賄うようになったそうです。

 この薪づくりの必要労働時間は年間2000時間近くになり、作業は現在3人で分担していますが、燃料費が地域の外や外国に出ていってしまうのではなく、地元に落ちて地域を回る環境共生社会をつくっています。官民協働による自然エネルギー普及を目指して平成23年に設立された自然エネルギー信州ネットは、その活動紹介の中で、長野県における化石燃料輸入相当額は年間3700億円程度と推定され、県内の建設業総生産とほぼ同等程度、農林水産業の約2倍に相当するとしています。

 そして長野県では、立地的な特性から、各地域ごとに自然エネルギーの普及に取り組むことが望ましい、その地域に暮らす住民がみずからの地域の資源を把握し、それをエネルギーとして活用、地産地消型エネルギーの需要と供給を担う、そんな新しいビジネスモデルの実現が地域経済にとっても重要であり、持続性も担保されることになると明確に述べています。

 こうした地産地消型の環境共生社会を広げていくことが大いに求められていると思いますが、どのように充実発展していくのでしょうか。以上、環境部長に伺います。

【環境部長】

 地産地消型のエネルギーの普及についてでございます。

 再生可能エネルギーの利用と供給の拡大に当たりましては、県の環境エネルギー戦略の基本理念に基づき、地域の担い手による地域の資金を活用した地域に利益をもたらす地域主導型の事業化を主眼に置いて取り組んでいるところでございます。

 具体的には、地域の事業者による固定価格買取制度を活用した再生可能エネルギー発電や地域資源を活用した木質バイオマス熱利用などの事業化を、検討の初期段階から設計・設備導入の段階まで、個別相談やワンストップ窓口、補助金等により幅広く支援をしてまいりました。

 その成果として、県内企業のコンソーシアムによる小水力発電、キノコ生産で生じた廃培地を活用したバイオガス発電、支障木による薪を地域で熱利用など、地域経済の活性化にもつながる再生可能エネルギー導入のモデル事例が着実に創出されております。

 今後はこれまでの施策に加え、来年度中の全県稼働を目指すソーラーマッピングを活用した建物の屋根での太陽光発電や太陽熱利用により自家消費を促進するとともに、熱利用の事業化を支援する補助事業を拡充してまいります。また、地域主導のベースとなる一村一自然エネルギープロジェクトや自然エネルギー信州ネットの取り組みも引き続き発展するよう支援しながら、地消地産の取り組みに資する再生可能エネルギーの普及拡大をさらに進めてまいります。

〔10〕大北森林組合事件

【山口典久議員】

(1)公文書公開

 大北森林組合補助金不正事件について伺います。大北森林組合を巡る補助金不正事件で、県は組合の元専務理事に1億2900万円余の損害賠償を求めて提訴いたしました。今回の提訴は県議会9月定例会で議案が可決されたことを受けて行われたものですが、この議案の審議では、元専務理事がなぜ賠償請求に応じないのか、その理由や反論について林務委員会で概略を口頭で説明したものの文書は示されませんでした。つまり、相手側の弁明や反論は十分に明らかにされぬまま議案は可決されました。

 こうした中、元専務理事の文書に関する情報公開請求が行われ、回答文書は一部公開決定がされました。しかし、特に個人情報に該当するものとして一部非公開となりました。その理由は、意見を公開することで個人の利益を侵害する恐れがあるということでした。

 私たち日本共産党県議団が確認したところでは、この元専務理事の文書には、補助金適正化法違反などの罪に問われた元専務理事への長野地裁判決が、県が組合に不正な補助金申請を始めるきっかけを与え、その後も容認し続けていたことは明らかとしたことを指摘し、県が組織を挙げて不正請求に積極的に関与したと主張しています。

 今回の県の対応について、自治体の情報公開制度に詳しい日大大学院の松村雅生教授は、県は元専務理事の個人名を明らかにしており、文書の中身を出さないことは条例の考え方にそぐわない旨の指摘をされています。

 一部非公開とした文書が個人情報に当たり得るとした判断に関して質問します。長野県情報公開条例第9条は、「公開請求に係る公文書に非公開情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、公開請求者に対し当該文書を公開することができる」としています。一部非公開とされた文書は公益上の理由による裁量的公開に当たると考えますが、非公開とする過程でどのような検討が行われたのでしょうか。

【知事】

 まず、大北森林組合の関係のご質問にお答え申し上げたいと思います。

 まず情報公開決定における裁量的公開についてのご質問でございます。元専務理事の回答文書に係る公開請求に関しましては、情報公開条例第7条第2号に定める個人情報に該当する部分を非公開として、一部公開決定を行わせていただいたところであります。個人情報につきましては、一度公開されますと回復しがたい損害を与える恐れがあることから、条例の第3条において最大限の配慮をしなければならないというふうにされておりまして、個人の意見と個人情報の公開については厳格に対応するべきものと考えております。今回の事案につきましては、情報公開条例第9条によります裁量的公開を行う必要性はないものというふうに考えております。

【山口典久議員】

(2)説明責任

 さらに、この間の一連の経過の中で不正が行われた補助金の使途、経過と責任、国への返還金の根拠、元専務が損害賠償請求を不服としたために行う提訴の根拠など、現段階でまとまった説明を行うべきと考えますがいかがでしょうか。

【知事】

 大北森林組合補助金不適正受給事案に係る県民への説明についてということでございます。この事案につきましては、これまで、事案の検証、補助金返還請求、県職員に対する懲戒処分、損害賠償請求等、事案の進展に応じて外部の専門家にもご協力をいただき、また監査委員にも監査をいただきながら厳正な対応に努めてきたところでございます。事案に対する対応状況につきましては、県民の皆さま方のご理解をいただけるよう、私あるいは委員の皆さま方等からその都度詳細なご説明を行ってきているところでございます。

 またこの事案の全体の状況につきましては、林務部改革推進委員会の委員の方々によるご説明を行っていただいたほか、昨年度、森林づくり県民税に係る県民説明会におきましても、県内を4カ所で県民の方々にご説明をさせていただいておりまして、できる限り丁寧な対応してきたところでございます。またこうした情報につきましては、これまでの経緯も含め県のホームページでも公開してきたところでございます。

 この事案につきましては、大北森林組合の再生、補助金返還や損害賠償に係る対応、こうした課題がまだ残されておりますことから、引き続き厳正な対応を進めていきたいというふうに考えておりますし、今後とも、状況の進展に応じて丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

〔11〕リニア中央新幹線

【山口典久議員】

(1)県の対応

 リニア中央新幹線への対応について質問いたします。日本共産党県議団はこの間、沿線市町村への現地調査を重ねる中で、リニア中央新幹線工事は自然環境や生活環境への影響が大きすぎること、また関係住民の納得や合意に背を向けるかのようなJR東海の一方的な工事の進め方など、さまざまな問題を指摘して県の対応を求めてきました。リニア中央新幹線は、南アルプストンネルの工事開始から2年が経ち、大鹿村では2カ所の作業用トンネルの掘削工事が行われています。トンネルの排出土の運搬も始まっています。

 私はこの1月16日、私自身5回目の大鹿村の現地調査を行いましたが、そこで改めて感じたことは、JR東海の一方的ともいえる対応は変わっていないということでした。現在、JRは村との確認書に基づき、工事車両が村民の生活道路である国道152号を通過するのを避けるため、う回路を整備中です。ところが、このう回路が完成していないために工事車両は暫定的に国道を通過しているのですが、現在1日最大68台が、この3月以降は約5倍の314台にすることがJR東海から発表されました。

 このことについて、住民の皆さんから314台に増えるというのは約束と違う、う回路の地権者の同意も得ずに確認書をつくったことがそもそも問題だなどの声が寄せられています。観光協会も含め、国道の通過は村の大切な産業である観光に影響するから、せめて土曜日は工事車両の通行を止めてほしいという要望が出されてきましたが、いまだに聞き入れられないことにも不審が広がっています。

 また1月16日に予定されていた住民説明会は直前まで非公開とされていました。報道では、阿部知事とJR東海の金子社長が2月15日にトップ会談し、知事は環境対策等について配慮を求めたとされていますが、今後、JR東海にどのように対応をしていくのでしょう。

【知事】

 リニア中央新幹線についてのご質問でございます。

 まず、工事に関するJR東海の対応についてというご質問でございます。このリニア新幹線の工事を行っていく上では、地域の方々の理解と協力が不可欠だということについては、私からJR東海には再三申し上げてきているところでございます。工事が本格化している大鹿村、あるいは豊岡村におけるトンネル掘削工事や工事用道路などの着手に際しましては、JR東海、施工業者とともに関係地域への説明を行い、住民の皆さまのご意見・ご要望もお伺いをしているというふうに聞いておりますし、また合意をした事項も守りながら工事を進めているというふうに承知をしております。

 今週の2月の15日に開催いたしましたJR東海の金子社長とのトップ会談の際にも、私から発生土置き場の早期確定、運搬車両の安全運行・騒音防止・水源保全など、環境対策について地域の声をお伝えをしております。引き続きJR東海に対しましては、地域の声にしっかりと耳を傾け、信頼関係の構築や不安の払拭に向けた努力を行うよう強く求めております。

 続きまして、発生土を利用した道路工事に係る情報公開等についてというご質問でございます。 県道松川インター大鹿線半の沢の道路改良計画につきましては、これまでも中川村リニア中央新幹線対策協議会など、機会を捉えて計画の概要について、その都度地域の住民の方々に対してご説明を行っているところでございます。

 この事業は、盛り土が大規模でありますことから、地下水域の与える影響など盛り土の安全性について、第三者の学識経験者から成る検討委員会で調査を行っているところでございます。検討委員会は現段階で安全対策についての検討途中でございます。委員の方々からは、忌憚のないご意見を頂くために非公開とさせていただいておりますが、会議終了後は報道機関の取材に丁寧にお答えをさせていただいているところでございます。

 検討結果につきましては、検討委員会での結論が出た段階で報告資料をまとめ、公表していく予定でございます。今後、検討委員会による検討結果を踏まえまして、地域の方々に対して、丁寧な説明を行いながら取り組みを進めてまいります。

【山口典久議員】

(2)残土処分場

 トンネルの掘削が進む一方で、残土処分場が確保できていない問題が浮き彫りになっています。現在、大鹿村の南アルプストンネルから排出を予定している残土300万立方メートルの中で、本置き場として決まっているのは旧荒川荘、ろくべん前、大西総合グラウンドで合計13.5万立方メートルのみです。予想される排出量のわずか13. 5%です。

 こうした中、長野県とJR東海によって中川村の半の沢という谷筋を埋め立てて県道を拡幅する工事が計画されています。南アルプストンネルの約30万立方メートルの残土を含め、合計53万立方メートルを活用し、高さ40 mという盛り土を行う計画です。これについては、地元住民から合流する小渋川が大雨で水位が上がった際に盛り土が崩壊する危険性などが指摘されています。

 この半の沢と大鹿村が鳶ヶ巣沢で予定する盛り土について、その安全性を検討する有識者検討委員会は昨年12月に立ち上げられましたが、第1回の会合から非公開とされています。県は情報公開、丁寧な説明、そして住民合意など今後どのように考えているのでしょうか。

 現在、残土処分場の候補地は多くが36災害をはじめ過去に重大な土砂崩れなどの災害があったり、その危険性が指摘されているところばかりです。それにもかかわらず、JR東海が2027年開業に固執し、安全性の確保や地元の合意がおろそかにされていることに住民の不安が広がっています。

 用地の買収や移転についても必要な情報も十分に明らかにされていないなど、住民置き去りのやり方を指摘する声も広がっています。このままでは将来に重大な禍根を残しかねません。改めて工事を一旦中止して、計画そのものを再検討するようJR東海に強く求めるべきではないでしょうか。

【知事】

 計画の再検討をJR東海に求めるべきではないかというご質問でございます。

 JR東海金子社長とのトップ会談の際には、地元との連携強化、現地体制の充実、より丁寧な説明、コミュニケーションを深めていただくこと、こうしたことを要請しております。JR東海は段階的に現地の人員を増やしていく、市町村との対話をしっかり行っていきたいと、そうした回答を頂いているところでございます。JR東海に対しましては、今後とも地域住民への丁寧な説明と対応を求めていくとともに、発生土置き場をはじめとする懸案事項の早期解決と、地域振興への協力等について今後とも強く求めてまいります。

【山口典久議員】

 本日は知事の政治姿勢について質問させていただきました。

 立憲主義という我が国が戦後築いてきた普遍的な価値をはじめ、今この国の未来がまさに岐路に立たされているからです。知事におかれましては、住民の福祉の増進を使命とするその地方自治体が、住民の意思、民意を尊重し、暮らしを守る役割を果たすよう県政運営に当たっていただくことを要望いたします。

 私ども日本共産党県議団も、長野県から暮らしに希望が持てる政治を発信できるよう全力を尽くす決意を表明して、日本共産党県議団の代表質問を終わります。

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