議第10号「海上自衛隊によるインド洋での補給支援活動の継続を求める意見書(案)」に反対の意見をのべます。
私は先日、イラクに派兵されたアメリカ軍帰還兵が戦場での自らの体験を生々しく語ったドキュメンタリー映画「冬の兵士」・・・ウインターソルジャーをみる機会がありました。この証言集は岩波書店から単行本としても刊行されています。
「イラクの人々のために」と若い青年たちが志願したが戦場は実態が全く違い、国際ルールを無視した交戦規定、「動くものはすべて殺せ」という上官からの指示のもと、停止命令を聞かないものはたとえ子どもであろうが女性であろうがたちどころに銃殺。何人もの無辜の住民を銃殺してきたことで、人間性が崩壊し、傷つき、心を病みPTSD、良心の呵責にさいなまされ自殺する者など、帰還した兵士が2000人を超える「反戦兵士の会」を結成し、証言を続け、戦争から撤退することを訴え続けている記録映画です。テロ対策と言いつつ無差別に住民を殺害している実態の告発に戦慄が走りました。
日本は、アフガニスタンでは海上自衛隊によるインド洋で米艦船などに給油という形で米国の「対テロ戦争」に加担し、ドキュメンタリー映画が告発しているように、罪のない民間人の殺戮に手を貸してきました。
結婚式の最中に空爆し、何十人も死者をだすなど無差別の武力掃討作戦によって多くの民間人を殺害しています。
そうしたことが外国軍の駐留にたいして怒りを強め、自爆テロや武力衝突をいっそう急増させるという、泥沼化した最悪の事態に陥っています。
昨年はペシャワール会の人道支援活動家の若き伊藤和也さんが犠牲になるという痛ましい事態もうまれました。参考人として国会に出席した現地代表の中村哲医師は「外国軍の空爆が治安悪化に拍車をかけている」「テロは軍事力では絶対になくならない。ますます拡大する」と厳しく指摘しています。
戦争でテロをなくすことはできません。あの9・11貿易センタービル爆破をきっかけに起こった報復戦争開始からすでに8年、一層はっきりしてきたのではないでしょうか。
核兵器の廃絶をめぐっても今世界は大きく変化し始めています。アメリカのオバマ大統領が議長となり、この24日、核兵器のない世界を目指した条件づくりに安全保障理事会として取り組む決意を初めて明記した決議を全会一致採択しました。
鳩山総理も国連に出席し「日本は唯一の被爆国として果たすべき道義的責任として、核軍拡の連鎖を断ち切る道を選んだ」と表明し、各国から注目をあびました。
この様に情勢は進展しているのに、提案されているように、アメリカ言いなりに軍事力に頼り続けることはまさに自衛隊の海外派兵を禁じた憲法9条にも真っ向から反し、歴史に逆行するものであり、平和を求める国民の願いとも相容れないものです。
新政権は「インド洋給油は単純には延長せず、海上自衛隊を撤退させる」と明言しており、その対応を心から歓迎するものです。
給油活動を通じてアメリカの報復戦争に加担する新テロ特措法の延長を許さず、ただちに撤退することを求め、本意見書には反対します。